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「あ、あの……多分、ハンデをもらっても勝てないと思います。……私、ビリヤードやるの今日が初めてなので」
「あれ、そうなの? 高丘と普通にゲームしてたから、何回かはやったことがあるのかと思ってたよ」
「高丘先輩が、教えてくれたから……」
「そっか。まぁ、大丈夫大丈夫! ちゃんと割に合ったハンデあげるし、もし罰ゲームが不安なんだったら、最初に罰ゲームの内容決めちゃおうよ。もし罰ゲームの内容が嫌だったら、拒否してくれてかまわないから」
「えっと、それでしたら……」
「よし決まり! それじゃあやるのはナインボールとして、ハンデは……いつでも九番狙っていいってのはどう? それなら勝てる気しない?」
……確かに、いつでも九番の球を狙えるっていうのは凄く有利だ。本来は一番の球から順番に狙っていかなきゃいけないんだから。
これなら、私でも勝てるかもしれない。
「……はい。それなら、もしかしたら勝てるかも」
「じゃあハンデはそれで決まりな! あとは罰ゲームだけど、そうだなぁ……もし俺が勝ったら、今度俺と高丘と一緒にデートってのはどう?」
「デ、デートですか!?」
「まぁデートっていうか、三人で一日色んなところ回って遊ばないかってこと。ちゃんと計画立ててさ」
「あの、そういうことなら別にかまわないですけど……それって罰ゲームなんですか? 何か私も普通に楽しめそうな感じがするんですけど」
「あれ、そう? ……じゃあもっと罰ゲームらしい罰ゲームにした方が良い?」
「い、いえ! その……それでお願いします」
「はは、じゃあそれでいこう。……で、もし優莉ちゃんが勝ったらだけど……何かご希望の罰ゲームはある?」
「えっ、あの……ちょっと待ってください」
そう言って、私は罰ゲームの内容を考えてみる。……けど、そんなの今まで考えたこともなかったし、今日初めて会ったばかりで、しかも学校の先輩である三浦先輩に罰ゲームだなんて……そんなの、思いつかないよ。
私が暫くの間悩んでいると、三浦先輩はしびれを切らしたのか、それとも私がこういう反応を見せるのを元々予想していたのか、一つの案を投げかけてくる。
「もし良いのが思いつかないなら、こんなのはどうかな? ――えっと、優莉ちゃんは高丘のケータイのメアドとか番号とか知ってる?」
「えっ? ……いえ、知りませんけど」
「じゃあ、優莉ちゃんが勝ったら、それを教えてあげるよ」
「えぇ!?」
「……高丘のケータイの番号、知りたくない?」
「あ、あの、知りたくないってことはないですけど……。で、でもそんなの高丘先輩に悪いんじゃ……」
「あぁ、そんなの全然気にしないで平気だよ。まぁそもそも優莉ちゃんが直接高丘に聞いたら、アイツは喜んで教えそうな気がするけど」
「そう……ですか? ……じゃあ、罰ゲームにはならないんじゃ……」
私が素直に思ったことを告げると、三浦先輩は人差し指を立てながらニヤッと笑って返してくる。その言葉の内容は、少なからず私の好奇心をくすぐるようなものだった。
「――でも、番号教えた覚えのない優莉ちゃんからいきなりケータイに電話来たりしたら、アイツすっごく驚くだろうし、それにも増して喜ぶと思うよ」




