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どうしよう……。高丘先輩は、どこかおかしくなっちゃったのかな?
ついさっきまでビリヤードについて色々教えてくれて、そのおかげで上手く一番の球をポケットに入れることが出来たのに。そのことが、すっごく嬉しかったのに。
それなのに、その後から高丘先輩は何かボーっとしてただ私の姿を見てるだけ。……高丘先輩も喜んでくれると思ったのに。
……でも、そうかと思えば私がふてくされて叫んだ言葉に笑みを浮かべたりして。本当に……どうしちゃったんだろう。
「ゴメンゴメン。……ちゃんと聞いてるよ。うん、バッチリ入ったな」
何だろう……何か、変な気がする。高丘先輩の仕草が、どこかぎこちなく見える。
……どうしてだろう。ついさっきまであんなに自然に……自然すぎて恥ずかしくなっちゃうくらいに私のことをリードしてくれてたのに。
それなのに、今はそれが嘘みたいに話す言葉にも見せる態度にも違和感を感じる。
もしかして……私、何か高丘先輩のかんに障るようなことでもしちゃったのかな? だから、こんな急に違和感を感じるようになったのかな?
そう思うと、気持ちが一気に沈んでくる。一体何が原因なんだろう。……わからない。……どうして?
「あの……先輩」
「ん? な、何?」
「私……何かマズいことしちゃいました?」
「えっ?」
不安だった。……物凄く不安だった。でも、もし私が何か高丘先輩のかんに障るようなことをしてしまったのなら、少しでも早くそのことを謝りたい。
折角、高丘先輩と楽しい時間を過ごせてたのに、それを全部壊してしまうようなことにはなりたくない。
だから私は、素直に高丘先輩にそう聞いたの。――でも、そんな私の質問を聞いた高丘先輩は、凄く驚いている様子だった。
「マズいことって……」
「だって、先輩……何か急に変になったっていうか、よそよそしくなったっていうか……そんな風に見えたから」
「……そうかな?」
「だから……もしかしたら、私が何か先輩のかんに障るようなこと……しちゃったのかなって」
私が気落ちしながらそう伝えると、高丘先輩は今度は急に慌てだした。焦った様子で、両方の手のひらを見せながら話し掛けてくる。
「ちょ、ちょっと待って! そんなことない! そんなこと、絶対にないから!!」
「でも……」
「確かに急に違和感を感じるように見えたかもしれない。でも、それは――」
何やら必死に弁解しようとしている高丘先輩。その様子を見たら、高丘先輩が言ってることは本当のことなんだなって、素直に思えた。
でも結局また、高丘先輩は話してる途中で言葉を止めてしまっている。何か言いにくいことなのか、視線まで私から逸らして。
このまま、また沈黙のときが続くのかな。――そう思っていたときだった。
「――おっ、高丘じゃん! ……あっ、スマン!!」
沈黙が続いていた空間に、突然男の人の声が響き渡っていた。




