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「さて、折角だしもうちょっとどこかで遊んで行く?」
三時間程度の時間をカラオケボックスで過ごし、外に出て開口一番そんな言葉を放ったのは諸岡先輩だった。カラオケボックスの中で寂しそうな表情を見せていた諸岡先輩だけど、今はもう普段の明るい表情に戻っている。
「俺は別にかまわないけど……優莉と大河は?」
「あ、僕はちょっと家に帰ってやることがあるから。姉ちゃんとは違って、これでも一応今年高校受験の身だからね」
「何よ、随分と含みのある言い方じゃない。……まぁ良いわ。水上さんは?」
「あっ、私は特に用事はないので……大丈夫です」
私がそう答えると、諸岡先輩はとっても嬉しそうな表情を見せてくれる。――私のことを必要としてくれているみたいで、何だか嬉しい。
「ホントっ! じゃあ三人でどこか行こっ!! えっと、どこがいいかな……」
「……そんな考えるほど選択肢無いだろ? 駅周辺だったら、せいぜいゲームセンターかビリヤード場くらいだろ」
「まぁ……そうね。……ねぇ、水上さんはどっちに行きたい?」
「えっ? えっと……」
頭の中にゲームセンターとビリヤード場を浮かべながら、考えてみる。
ゲームセンターには、今まで一度しか行ったことがない。そのときは確か……UFOキャッチャーと何かパズルゲームみたいなのをやったはず。……でも、UFOキャッチャーでは何も取れなかったし、パズルゲームも何だか難しくてすぐにゲームオーバーになっちゃった気がする。正直、ただお金だけ無くなるだけで、あまり面白い場所だとは思えない。
ビリヤード場は……。そういえば私、ビリヤード一度もやったことがない。
「あの、ゲームセンターはちょっと苦手みたいで……」
「じゃあビリヤードにする?」
「その、実はビリヤード……一度もやったことなくて」
折角諸岡先輩が誘ってくれてるのに、何だか申し訳なくて仕方がない。こんなんじゃ、諸岡先輩も高丘先輩も困っちゃうよね。
私はそういう風に思ったんだけど、諸岡先輩は少しも嫌な顔を見せずに、変わらぬ笑みを見せてくれる。
「大丈夫、ダイジョーブ! 私も数えるほどしかやったことないし、大して上手くもないから。――それじゃあビリヤード場で決定ね!!」
諸岡先輩はそう言うと、大河くんに向けて手を払う仕草を見せながら「シッシッ!」って、まるで邪魔者をはねのけるかのように呟く。
大河くんはそんな諸岡先輩の仕草に一瞬イラッとした表情を見せるけど、そういう扱いを受けるのに慣れているのか、特に何かを言い返すこともなく私と高丘先輩に軽く手を上げて挨拶をしながらこの場を去っていく。
大河くんが去っていくのを確認すると、諸岡先輩は拳を上げながら高らかに宣言――しようとする。
「さて、邪魔者もいなくなったことだし、ビリヤード場にレッツ――ん?」
――けどその宣言は、諸岡先輩のバッグの中から聞こえてきた携帯電話の着信音によって断ち切られた。




