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何だかもう、今日はクタクタだった。
リギュンさんとステラさんと一緒に隣の部屋に挨拶しに行った後も、私は砦の人たち一人一人に挨拶をして周っていた。最初の頃は緊張もあって疲労感が前面に出てくることはなかったけど、次第に慣れてくるとだんだん自分が疲れている事に気付きだして、終わりに近づいた頃にはもう笑顔を作るのに必死だった。
挨拶をしに行くたび、リギュンさんは私の『アイドル化計画』のことについて話していたけど、驚いたことに大抵の人はその考えに肯定的だった。みんな優しく接してくれたし、服のことも褒めてくれたし、そのことはとても嬉しい。……でも、やっぱり私がアイドルだなんて、どうしてもピンとこないんだけどなぁ。
そうそう、途中高丘先輩にも会ったんだけど、リギュンさんからアイドルのことを聞くと、高丘先輩は本当に驚いてた。驚いてたけど……でも、凄く喜んでくれていた。
『優莉なら、きっと砦のアイドルになれるよ。現に、今も優莉の話題でもちきりみたいだしね。……いくら普段平然とした姿を見せていても、魔物を相手にしている以上、みんな死と隣り合わせの生活を送ってるんだ。だからやっぱり、みんな心の拠り所みたいなのが欲しいんだと思う。……きっとそんな、みんなの拠り所に、優莉ならなれるよ』
そんな言葉を掛けてくれた高丘先輩。何を根拠にそう言ってるのかはわからない。……けど、何だか高丘先輩にそう言ってもらえると、本当に砦のみんなの役に立つことが出来るんじゃないかって、思える。本当にそういう結果に繋がるのなら……頑張りたい。
着替えてドレスをクローゼットに仕舞ってから、私はベッドの上に横たわりながらそんなことを思っていた。そして、少し前まで一緒だったリギュンさんとの会話を、改めて思い起こす。
『――どうです? これでユーリさんにアイドルの資質があることがハッキリしたでしょう。挨拶をしに行ったみなさんの反応が、その証拠です。砦の皆さんのためにも……アイドルになってみませんか?』
『あの、ご期待に応えることが出来るかはわからないですけど……それでもよければ』
『そうですか! それは良かった! ……大丈夫です。皆さんの反応を見る限り、ユーリさんは間違いなく皆さんの支えになることができますよ』
『そう……ですかね。……でも、アイドルになるとして、いったい私は何をすれば良いんですか?』
『それはまた、後々決めていくことにしましょう。もうだいぶ遅い時間ですし、砦中周ってお疲れでしょう。今日はゆっくり休んでください』
……ついアイドルになることを了承しちゃったけど、本当に大丈夫なのかな? 私に出来ることって、いったい何だろう?
リギュンさんがいったいどんなことを私にさせようとするのかはわからない。……でも、アイドルになるって決めたからには、少しでも砦のみんなのためになれるように頑張らないと。
ベッドで横になりながら想起に頭を使っていると、自然と睡魔が襲い掛かってくる。そして、疲れもあいまってか、私は少しもその睡魔に抵抗できずに瞳を閉じる。
高丘先輩も、大河くんも頑張ってるんだから、私も頑張らないと……。




