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カフェMay'sと読書少女  作者: 深那 優
13.嬉し恥ずかし読書少女
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13-1

 間違いなく、見覚えの無い人だった。昨日、砦の中をステラさんに案内してもらったときにも、会ってない……と思う。

 もちろん、その案内してもらったときに会った人たちの顔を全て覚えているかと言われればそれはちょっと自信ないけど、アンティーク調の眼鏡を掛けていて袈裟のような衣服を着用、そして手首にまるでブレスレットでもしているかのようなタトゥーが彫られているという、かなり特徴的な外見を持つ人を忘れるとは思えない。

 差し伸べてきた手を取り立ち上がると、男性は何か思い出したかのように話しだす。


「もしかして……あなたがユーリさん?」

「えっ? はい……そうですけど」

「やはりそうですか。……私はリギュンといいます。アレン殿のもとで、魔物討伐隊の参謀役を務めている者です。あなたのことは、伝令から聞いていますよ」


 参謀役……ということは、きっとこの砦の中ではアレン様に続くぐらい偉い人……なんだよね。――って私、そんな人に思いっきりぶつかっちゃったの!?


「す、すいませんでした! あの、ちょっと慌てて、その……」

「あ、気にしないでください。私もちょっと余所見してましたから、お互い様ですよ」


 私が慌てて頭を下げて謝っていると、リギュンさんはそっと私の肩に触れてそう返してくれた。その口調から、優しい人なんだろうなぁって感じる。

 リギュンさんは私が顔を上げたのを確認すると、心配そうな表情で問いかけてくる。


「それはそうと、随分と慌てている様子ですけど何かあったのですか?」

「あっ、その……ちょっと……」


 私が何と答えてよいかわからず困っていると、リギュンさんは一瞬何か考えているような仕草を見せたかと思うと、改めて私の手をとってそっと囁き掛けて来た。


「……何か悩んでいらっしゃるようですね。もし良かったら、どこかでゆっくりお話しませんか? 折角こうしてお会い出来たんです。ユーリさんのお力になれるかどうかはわかりませんが、話してみるだけでも少しは気が晴れるかもしれませんよ?」


 リギュンさんがどんな人なのか……それは、こんな短時間の会話の中では計りきれない。……でも、少なくとも今私に向かって告げている言葉に裏があるとは思えなかった。

 単純に、私のことを心配して投げかけてくれている言葉。そうじゃなかったら、こんなにも穏やかな表情を見せることなんて出来ないと思う。……少なくとも、私には無理。

 私は改めて頭を下げて、いつのまにかだいぶ落ち着いていた気持ちのまま、リギュンさんに告げる。


「おの……もしご迷惑でなければ、私の話を聞いてもらっても良いですか?」


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