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もう、疑問と混乱と悲しみが無作為に絡み合って、何が何だかわからなかった。ベッドの上でひらすら泣いても、一向に気持ちは落ち着かない。
私の前に現れたのは、間違いなく大河くんだった。私の中学三年の時を支えてくれた友達を、間違えるわけがない。
どうして大河くんがココにあらわれたのか、それはわからない。……でも、現実世界の人である大河くんがココに来れたということは、どういう経路で手元に渡ったのかはわからないけど、あの文庫本を大河くんが読もうとしてしまったということなはず。
中学以来の大河くんとの再会は、私にとって本当に嬉しいことなはず。それなのに、どうして……どうしてこんなことになっちゃったの……。
「大河くん……。せっかく会えたのに、もっと、もっとちゃんとお話……したいよ! ステラさん、何で大河くんを連れてっちゃうの!!」
叫んだところで、何がどうなるわけでもない。……でも、今の私はただただ嗚咽交じりにそんなことを叫ぶことしか出来なかった。
ステラさんがとった行動は、きっとこの砦に集う人たちにとっては至極当然なことで、然るべき行動なんだと思う。ステラさんが悪いんじゃ……ない。
そう理屈としては理解出来るけど、絡み合う感情はそんな理屈をいとも簡単にねじ伏せる。
「ごめんなさい……ごめんね……。ごめんね! 私、大河くんを助けてあげられない! 本当……本当にごめんなさい……」
脳裏に残る大河くんの残像に向けて、懺悔するようにただひたすらに謝り続ける。……でもそれは、結局自衛の意識の表れでしかない。
ベッドの上のシーツを手に取り、素早く顔を覆い隠す。そして、歯を食いしばりながら嗚咽を飲み込む。
もう、しばらくこのまま動けそうに無い――。
「――優莉! どうした、何かあったのか!?」
突然、部屋のドアの向こうから、そんな声が聞こえてきた。その声に、私の身体はビクッと跳ねる。この声――間違いない。
「高丘、先輩……」
「……入るよ?」
部屋のドアが開き、そこに、高丘先輩の姿が現れる。――その真剣な眼差しが、私の心を突き抜ける。
高丘先輩は、ゆっくりと私のもとへと近づきながら、小さく息を吐きつつ話しかけてきた。表情が心配そうな顔に変わり、私は――私は、無意識に前傾姿勢になっていく。
「何か泣き叫んでるような声が聞こえてきたからビックリしたよ。……何かあったのか? 話せることなら、もし良かったら話してくれないか? あ、あと、前にも言ったけどこっちでは俺のことは倫人って呼んでくれると――って、ゆ、優莉!?」
高丘先輩の話が一区切りつくのを待つことなんて、出来なかった。身体を、ベッド上に留めておくことなんて、出来なかった。
――私は、ゆっくりと近づいてきていた高丘先輩に駆け寄って、無我夢中に抱きついていた。
「高丘先輩! 助けてください! 大河くんを……大河くんを助けてください!!」




