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見上げれば、相も変わらずな~んにもない澄み渡った空が広がっていた。さんさんと照りつける太陽による日差しが目に痛い。
高丘先輩に手を引かれながら辿り着いたのは、学校の中で最も高い位置にある屋上だった。
学校によっては屋上への立ち入りを禁止していたりもするだろう。……何だか言いにくいけど、隆総もその類に漏れることは無い。
屋上へと続く階段には『立ち入り禁止』と書かれたプレートをぶら下げたロープが張られていたけど、高丘先輩はそんなの全く気にすることなくロープを跨いでいて、私は呆気にとられながらもついていったんだ。
本来立ち入り禁止なだけあって、当然屋上に人影は見当たらない。
そんな中、高丘先輩はずっと繋がれていた手をようやく放してグッと両腕を天に向けて伸ばす。そして、呆気にとられたままの私に向かって、晴れやかな笑顔を見せる。
「やっぱり晴れた日の屋上は気持ち良いなっ!」
「あ、あの、屋上は立ち入り禁止……ですよね?」
「あぁ、まぁ……たまにはいいだろ。――って、実は昨日も来たんだけどね」
「えっ!? だ、ダメですよ……。もし先生にバレちゃったら……」
「大丈夫だって。それに、そうそう何回も来てるわけじゃないから。でも、やっぱり気持ち良いし、それに……ほら、こっち来て見てみなよ」
高丘先輩は、屋上の周囲を囲う金網の近くまで移動しながら、私に視線を向けることなく告げてくる。
何だかよくわからないまま、言われたままに高丘先輩のすぐ隣まで移動した。すると――。
「――うわぁ……凄い、ですね」
金網越しに、町の景色のパノラマが一面に広がっていた。
台地のちょうど頂上付近という学校の立地条件が成せるわざだろう。本当に、近辺のあらゆる場所を一望することができる。
普段歩いている通学路を通る車や人が小さく見えて、何だか少し優越感を感じちゃったり。
――自然と、硬くなっていた頬がほころぶ。
「なっ! この景色見れるだけでも、屋上に来た意味があるだろ?」
「はい……ふふ、そうですね」
思わず笑い声を漏らしつつ応じると、高丘先輩はちょっとホッとした様子を見せる。
もしかして、私に……気を遣ってくれたのかな?
高丘先輩は視線を一面のパノラマから私の方に向けると、金網に寄りかかりながら表情を穏やかな微笑みへと切り替えていた。
「なにはともあれ、早いうちにこっちで優莉に会うことができて良かったよ。とりあえず、改めて『はじめまして』……かな?」
太陽の日差しに、煌く笑顔。
制服姿でも、やっぱり高丘先輩は私の知っている高丘先輩だ。
「はいっ! はじめまして、倫人さん!」
――ほころんだ頬をそのままに、私は高丘先輩に向けて今できる最大限の笑顔を向けた。




