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「あのね、ユーリちゃん。ユーリちゃんには悪いかもだけど、私、ユーリちゃんが来てくれてとても嬉しいんだ。ほら、この部屋は見ての通り本来二人部屋なんだけど、この砦にはあまり女の人いないからさ。それこそ、私みたいに戦いに出る女の人なんて、ほとんどいないの」
「そう……なんですか?」
「うん、そうなの。……流石に、どうでもいい男と一緒の部屋で寝たりするのは、もう女として終わってるじゃない? だから、この部屋も、ずっと私一人で使ってた。……たまに気を使ってこの部屋に泊まりに来てくれる子もいるけど、やっぱり基本的には一人だからさ。だから……結構毎日、寂しかったりしたんだ。――あっ、そこキャラじゃないとか思ってるでしょ〜?」
「そ、そんなこと……無いです……」
「本当にぃ? ……ふふ、まぁいいけど。だからね、ユーリちゃんをずっと一人にすることなんてないわ。私だって、ずっと一人は嫌だもの。それに、何より私がユーリちゃんと一緒にいたいしね」
何だかもう、ありがたくって、ホッとして、嬉しくって……また、涙が止まらない。
ステラさんからしてみたら、私はいきなり現れた変な格好の人。高丘先輩と同郷っていうことにしてるから、多少は繋がりがあるにしても……やっぱり見ず知らずの人に変わりはない。
でも、ステラさんはそんな私を受け入れてくれている。そして、私といることを喜んでくれている。
どうして――どうして、こんなに温かいんだろう。
そう思うと、自然と私は涙を流しながらではあるけど笑うことが出来た。うん……きっと、笑えてる。
私の表情を見て安心したのか、ステラさんは私を抱く腕を解きながら、話題を変えて話しだす。
「あっ、それに私、こうやって部屋の中で、女の子同士で話したりするのも好きなのよ! やっぱりほら、女の子同士じゃないと話せないこととかって、あったりするじゃない?」
「そう……ですかね?」
「そうよ! そうねぇ、例えばユーリちゃんだったら、リント君のこととかぁ」
「た、高――倫人さんのことって、別にそんな……」
「あれぇ? そう言う割には随分と恥ずかしがっちゃってぇ。リント君結構格好良い方だし……ユーリちゃん、実はまんざらでもないんじゃないの? 魔物から助けてもらってるし、傍から見ててもお似合いだと思うわよぉ」
「えっ? あの、その……倫人さんはかっ、格好良いと思いますけど……。でも、倫人さんは別に私のことなんて、何とも思ってないと思いますし……」
「あら? 『リントさんは』ってことは、やっぱりユーリちゃんはリント君のこと――」
「もぅ、そんなにからかわないで下さいよ、ステラさんっ!」
――そんな、他愛も無いことを笑って話せる相手がいる。
その事実だけで、私はこの世界に来て良かったと感じられた。
もちろん、取り巻く環境はこの世界の方が現実世界より格段に危険なものだと思う。
……でも、現実世界では出来ないことが、今この世界で出来ている。現実世界に、こんな話をする相手なんてどこにもいないし……。
本当に楽しそうに話すステラさんに、私は満面の笑みを返す。
きっと、意識することなく、感謝の意味も込めている……そんな、気がした。




