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「お待たせ〜! とりあえず色々調達してきたよ〜!!」
ステラさんがそう言いながら、両手に沢山の衣類を抱えて戻ってきたのは、外から獣の遠吠えのようなものが聞こえてきてからおそらく十数分ほど経った頃だった。
トップスにボトムス……アウターにインナーまで、パッと見でもとりあえず揃っていそうに見える。でも、それらは全てぼやけた状態でしか窺うことが出来ない。
――私は、そのことを喜んでいられる状態にはなかったの。
絶えず生まれてくる恐怖に、涙で瞳を濡らしながら身をガタガタと震わせていたんだ。
沢山の衣服を調達してくれたことよりも、ステラさんがここに戻ってきてくれたことが嬉しくて、私はすがるようにステラさんに抱きつく。その衝撃で部屋を舞う、沢山の衣服たち。
「ど、どうしたのユーリちゃん? 何かあったの?」
流石のステラさんも私の行動に驚いているようで、放つ言葉が変に上ずっている。
私はそんなステラさんの言葉に返答することなく、ただただステラさんをきつく抱きしめていた。……そうすることで、自然と私の中を渦巻いていた恐怖が徐々にどこかへと霧散していく。
温もりが……とても心地良かった。その心地良さが、安心感に変わっていく。
ステラさんはそんな私の様子に、声を掛けることなくそっと腕を回して抱きしめ返してくれる。
聞こえてくる鼓動が、私に安らぎを与えてくれていた――。
+ + + + +
「あの……すいませんでした」
私がようやく落ち着きを取り戻して、散乱した衣服を片付けてベッドの上に居場所を落ち着けた頃、何とか私が放つことが出来たのはそんな言葉だった。
でも、私はベッドの端に座ってうつむいたまま、横に座っているステラさんに視線を向けることが出来ないでいる。
震えは……治まった。涙もちゃんと拭った。……でも、私の中にある恐怖心はまだ完全に消滅してはいなかった。
「どうしたの? ……もし良かったら、このステラ姉さんに話してごらん」
そう言って、うつむいている私の顔を覗きながら小さくおどけて見せるステラさん。そのステラさんの優しさに、私の瞳には再び涙が溜まり始める。
そして、今度はこらえることなく声を吐きながら、私は再びステラさんに抱きついていた。
「怖い……怖いんです! 一気に色んなことが起こって、もう何が何だかわからなくなって、ようやく落ち着けると思ったら……一人なんだって気付いて!! 外から遠吠えが聞こえて、あの林の中で見た魔物のことを思い出しちゃって、もっと凄く怖くなって!! 一人は嫌です! 一人は怖いです!! お願いです……私を、一人にしないで……」
自分が話している言葉であるはずなのに、最後の方は自分でも何を言っているのかよくわからなくなっていた。それくらい、自分の感情を包み隠すことなく吐露していた。
私の嗚咽混じりの言葉に、ステラさんは私の背中をポンポンと軽く叩きながら、まるで言葉で私を包み込むかのように囁く。
その言葉は、まるで魔法のように私の心を穏やかにしてくれる――。




