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「それはそうと、さっきアレン様たちが戻ってきたって知らせが来たわ。優莉ちゃんのこと伝えてあるみたいだから、多分すぐここに来るわよ、アレン様」
ステラさんが部屋に戻ってきて、みんなが椅子に座って一息ついた頃、ステラさんは思い出したようにそう告げてきた。
アレン様――高丘先輩やステラさんの君主である人。初めて声を掛けられた時は怖くて顔も見れなかったけど……いったい、どんな人なんだろう。
高丘先輩の話を聞く限りでは、とても正義感が強くてカリスマ性みたいなものを持ってそうな気がするけど……。
いや、きっとそうだろう。だって、そのアレン様の声でこの砦にいる人たちは集まったのだから。
何か惹かれるものが無い限り、そうそう自ら危険が及ぶ可能性のある場所へ赴くことなど無いはずだし。
「そうですか。……じゃあ、アレン様が来たら優莉のこと話さないとな。多分、何かと話しにくいだろうから、俺が代わりに話そうかと思うけど……それで良い?」
「あっ……はい。お願いします」
私を気遣っての、隣に座る高丘先輩の言葉。その表情は、まるで視線で私を優しく包みこんでいるかのように穏やか。
――高丘先輩に任せておけば、きっと上手く事は運ぶ。
そう思わせてくれるような表情。
きっと、釣られて私も表情を緩めていることだろう。
そんな高丘先輩と私の表情を交互に見ながら、対面に座るステラさんは興味津津といった様子で声を掛けてくる。
「ねぇねぇ、それで結局、二人は一体どんな関係なの? まさか初対面ってことはないでしょ?」
「い、いえ、初対面ですよ。……優莉が俺のことを知ってたとしたら、アレン様と一緒に出会ったときに逃げ出したりするわけないじゃないですか」
「まぁ……そうね、確かに。でも、その割には随分と仲がよろしいように見えるけどな~。……ねぇ、優莉ちゃん?」
「えっ? あ、あの、その……」
そんなこといきなり振られても、どう答えていいのかわからないよ……。仲が良いように……見えるのかな?
私が返答に困っていると、高丘先輩はクスッと笑って代わりに言葉を返してくれる。
「あぁ、実はいろいろと話してたら同郷の出身だってことがわかって。多分、それで話が合うからそういう風に見えたんじゃないですかね」
「ふ~ん、そうなんだ……。まっ、そういうことにしておきましょうかね。……私には、それだけが理由だとは思えないけど~」
やけにニヤニヤした笑みを見せながら、楽しそうに話すステラさん。その様子に、高丘先輩は小さくため息を吐きながら私の方を向いてお手上げといった仕草を見せる。
そして、私が引きつった笑みを返していると、突然ドアをノックする音が聞こえてきた。
みんなが、一斉にドアの方を向く。そして――。
「ステラ、リント、いるのか? ……入るぞ」
――聞き覚えのある声。
そして、その声が聞こえてきたのと同時にすっと立ち上がる高丘先輩とステラさん。どこか、緊張した雰囲気が伝わってくる。
間違いない。あのドアの向こうに、あの『アレン様』がいるんだ。




