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緑萌える木々による林の中を、『安全な場所』――ステラさんの言う砦に向かってひたすら歩いていた私たち。高丘先輩は周囲の様子を気にかけながら、ステラさんは私を支えながら。
どれだけの時間歩いていたのかは定かではないけど、すでに私の足は完全に悲鳴を上げていた。
棒のように固まった足は、一歩歩みを進める度に、耐え難い痛みを返してくる。
……でも、ある意味それは今の私にとっては好都合だったのかもしれない。どうしようもない吐き気に悩まされるより、まだ足の痛みによる苦痛が前面に出てきてくれた方が気持ち的には楽に思えたから。
とはいえ、いつまでもこの状態が続くのは……やっぱり辛い。高丘先輩やステラさんが少しも辛そうな表情を見せないのが、私にはとても信じられなかった。
だいたい、二人とも躊躇うことなくどんどん林の中を進んで行っているけど、こんな似たような景色の中、本当に私たちが向かっている方向は合っているのだろうか。
意識を足の痛みから逸らす意味も込めてそのことをステラさんに聞くと、ステラさんはとある一本の木を指差して質問の答えを教えてくれた。
「ユーリちゃん、あの木をよ~く見てみて。幹にロープが括り付けられてるでしょ?」
言われた通りにステラさんが指差した木を注意深く見てみると、確かにその木の幹には一本のロープが括り付けられていた。そしてそのロープには、何やら赤い札のようなものが付けられている。
「あのロープに付いてる赤い札は、私たちが見回りをするときに迷わないようにするための目印なの。ちょっとここからは見えないと思うけど、あの赤い札には番号が振られてて、その番号でこの場所の位置がわかるようになっているのよ。……ちょっと見てみる?」
大して興味があるわけではないけど、特に断る理由もないから素直に頷き返す。
そして、ステラさんに支えられたままその木のもとまで向かうと、赤い札に書かれた番号をしっかりと確認できるように。
――『1―3』と印されている。
「前の数字が大きな区画分けの数字。そして、後の数字がその区画をさらに細分化する数字。区画の数字は砦に近い方から順に採番されているの。目指す砦まではあと少しよ! だから、もう少しだけ我慢してね」
笑いながらそう言うステラさん。……どうやら、私が足にきてることはお見通しなようだ。
何だかちょっと恥ずかしくなりながらも頷くと、ステラさんは再び歩き始める。
そして、それからまた暫くの間歩き続けていると、視界が一気に開けた。眩しいほどの光が、辺りを白く染める。
その眩しさに目を細める中、ステラさんは軽く私の肩を叩いて呟く。
「ユーリちゃん、あれがプレストの砦。――私たちの拠点よ」




