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カフェMay'sと読書少女  作者: 深那 優
19.素顔のふれあいと戦男女
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19-6

 目の前に、残った力を何とか振り絞っているといった感じに腕を振っているステラの姿があった。遠目でもわかる。木の根に近い部分に寄りかかった状態でいるステラの腕や脚からは、コウモリのような魔物に噛まれたことによる出血が見てとれる。

 飛び回ってて正確な数はわからないが、コウモリのような魔物の数はおそらく十数匹程度。一匹が持つ力は大したことないが、あれだけの数で攻められては、一人では中々太刀打ちすることは出来ない。

 それこそ、ステラの得物は弓だ。小さくてちょこまか動くコウモリのような魔物の相手をするには、明らかに不向きな武器。……至近距離まで近づかれたら、応戦することなど出来なくなってしまう。


「ステラっ!!」


 アレン様が、叫び声と共に白銀の剣を構えステラのもとへ。同じようにして、リントが続く。

 そんな二人から少し離れた場所から、俺は必死にステラのもとへと向かうべく駆けていた。呼吸するたびにあばら骨が悲鳴を上げるが、そんなこと……気にしていられるか。


「うおぉぉっ!!」


 アレン様が白銀の剣を振り、ステラからコウモリのような魔物を引き離していく。だがそれは、当然ステラに当たらないように振るわれたもの。ステラの身体に噛みついた状態でいるコウモリのような魔物が引き離されることはない。

 だが、そんなのお構いなしにリントがステラのもとへと駆け寄っていた。そして、ステラの身体に付いているコウモリのような魔物を手で素早く払い落してから両腕で担ぎあげる。


「そのまま後退しろリント! 魔物は俺が引き受けるっ!!」

「わかりました!」


 リントがこちらに向かって駆けてくる。その後をキィキィ鳴き叫びながらコウモリのような魔物が追い掛けようとするが、アレン様が白銀の剣を振ってそれを許さない。

 アレン様の白銀の剣が、コウモリのような魔物に命中することはない。だが、その斬撃は十分にコウモリのような魔物の注意を引く効果をもたらしていたんだ。

 少しでも早くステラとリントのもとに辿りつくよう走っていた俺。……だが、常に感じる痛みはついに俺に『走る』という動きをさせてくれなくなってしまう。

 ――あともう少しというところで、俺は地面に片膝をついた状態で動けなくなってしまった。

 動くのもつらいが、まず呼吸することがつらい。ずっと走り続けたことでどうしても荒くなる呼吸が、これでもかというほどに痛覚を刺激してくる。

 そんな俺の視界に、点々と滲む赤が映し出された。――それはリントがそっと地面に下ろした、ステラの脚にある複数の傷跡だった。

 コウモリのような魔物によって噛まれた痕だろう。……引きちぎられた衣服の下から、まるで皮膚をえぐられたかのような傷跡が無数に存在している。


「ハァ、ハァ……クッ、大丈夫かステラっ!」


 痛みをこらえながら、ステラの顔を窺いつつ叫ぶ。

 ――叫びに反応してゆっくりとこちらを向いたステラの表情は、今まで見たことのない虚ろなものだった。


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