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カフェMay'sと読書少女  作者: 深那 優
18.白銀の盾と偶像少年
108/117

18-3

 区画分けの札を掛けるために木に巻かれたロープは、想像以上にしっかりとした結びで固定されていた。見回りの目印となる大事な札を掛けているんだ。当然と言えば当然のことだろう。

 そんなしっかりと結ばれたロープは、力を込めても中々解けてくれない。


「くそっ! こんなに固く結んでなくても良いだろっ!?」


 思わず叫びながら、何とかしてロープを解こうと更に指に力を込める。

 背後からは、アレン様の白銀の剣が異形の獣に激突する音が聞こえてくる。甲高い音――おそらく、異形の獣の鉤爪と衝突した音だろう。

 そんな甲高い音や、アレン様の気迫に満ちた声。……早くロープを解いて異形の獣を何とかしないと!

 ……でも、そんな思いとは裏腹に、一向にロープは解ける様子を見せない。生まれてくる焦りが、余計にロープを解こうとする指の動きを雑にさせる。


「リントっ! ロープはまだかっ!?」


 アレン様の声に多少の焦りが感じられる。流石のアレン様も、あの異形の獣をずっと相手にするのはキツいはず。……これ以上、時間を掛けているわけにはいかない。

 そんな俺の気持ちがようやく形になって、ロープの固い結び目を解くことに成功した。そしてロープを手に束ね終えると、間髪いれずに叫ぶ。


「アレン様っ! ロープの準備が出来ました!!」


 その叫びに、アレン様は異形の獣の鉤爪を白銀の剣で思い切り弾いてから俺のもとへと駆け寄ってくる。


「よし! リントはこっちの端を持て! 俺は反対側を持つから、ピンと伸ばしてヤツの足元に引っ掛けるぞ!!」


 声に首肯で応え、アレン様と俺はそれぞれロープの端を持ったまま逆方向へと歩いていく。すると、ロープがピンと張られた状態になる。

 アレン様と俺と異形の獣。上から見れば、結べばちょうど三角形になるような各々の位置。

 このロープがピンと張られた状態のまま、異形の獣のいる方向に向かって走れば、ロープが異形の獣に接触することになる。異形の獣の足元にロープが接触するよう、少しロープの端を持つ手の位置を下げて――。


「――準備は良いか? ……行くぞっ!!」


 アレン様の掛け声を合図に、俺は異形の獣にロープを引っ掛けさせるべく走り出した。チラッとアレン様の様子を確認すると、アレン様は俺の走るペースに合わせてくれている様子。……ロープはしっかりと張られた状態のままだ。

 そして異形の獣は、俺たちの行動の意図が全くわからないのか、ただただその場に立ち尽くしたまま両手の鉤爪をいじっている。この様子なら、少なくともロープを避けられることはなさそうだ。



 ――よしっ! 頼む、倒れてくれよっ!!


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