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カフェMay'sと読書少女  作者: 深那 優
18.白銀の盾と偶像少年
107/117

18-2

 俺の声を聞くと、アレン様はサッと背後に飛び退いて異形の獣から離れて、俺のもとへと駆け寄ってきてくれた。

 返事無しの、俺が声を放ってすぐの行動。――それは、アレン様が俺のことを信じてくれているからこその動きなんだと思う。

 俺のもとまで辿り着くと、アレン様は異形の獣を睨みつつ話しだす。


「――さて、どんな名案が浮かんだのだ? ……期待を裏切るような案はご免こうむるぞ」


 そんなアレン様の言葉に緊張しながらも、覚悟を決めて浮かんだ案を説明する。



「ただ単純にアイツの首を狙っては、ディックさんの二の舞になってしまいます。腕の長けたディックさんですら返り討ちにあったくらいですから、私は論外として、アレン様でも容易なことではないでしょう。

 私は、アイツの首を狙うことの問題点はその高さにあると思います。あれだけ高い位置にある首を狙うためには、どうしてもアイツに向かって跳躍する必要がありますが、そうしてしまうと無防備の状態を作り出してしまう。

 ――ならば、アイツの首の位置をもっと低くすれば良いのです」



「……どういうことだ? いまいち理解に苦しむのだが」


 アレン様は視線を異形の獣に向けたまま、疑問の言葉を返してくる。……まぁ、当然の反応だろう。俺はまだ、実際の対処法については何一つ触れていないのだから。

 俺はその対処法を説明すべく、一本の木を指差す。


「高い位置にあるのなら、倒してしまえば良いのです。アイツを転倒させることが出来さえすれば、首を狙うのは容易いことでしょう。

 ……あの区画分けの札が掛っているロープ。あれは、あの太い木を三周は巻いています。それだけの長さをもつロープなら、アイツの脚に絡ませることが出来る」

「だが、所詮は植物の繊維の集まりだぞ? ヤツを転倒させる前に、ロープの方が切れてしまいやしないか?」

「はい……その可能性も十分にあり得ます。……ですが、今は少しでも可能性のある手段に賭けてみるしかないかと」


 俺がそう応えると、アレン様は相変わらず異形の獣に視線を向けたまま数瞬の思考。――そして、


「そうだな。他に効果的な手段を見いだせぬ今、少しでも可能性があるのならそれに賭けてみるしかないだろう」


 そんな言葉で俺の案を受け入れてくれた。しかし、その間に異形の獣は、じわじわと俺たちに向かって歩みを進めている。その歩みはとてもゆったりとしたものだが、そもそも大して距離は離れてないから、ゆっくりしてたらすぐにこちらまで辿り着いてしまう。


「リント、お前は急いでロープを解け! それまで俺がなんとか食い止める! ――頼むぞっ!!」


 ――再び異形の獣に向かっていくアレン様の背中を見送りつつ、俺はロープの巻かれた木へと駆けだした。


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