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「リント、おそらくヤツの攻撃にはある程度の決まったパターンがあるはずだ! 俺が暫くの間持ちこたえる。その間にそのパターンを把握し、ヤツを倒す手段を見つけ出せ!!」
アレン様はそう言うと、自らを鼓舞するように吠えながら、異形の獣に向けて白銀の剣を振るいだす。
異形の獣が見せた攻撃。――アレン様の最初の斬撃をさばいた、太い腕を横に振り抜くもの。そしてディックさんに対しての、身体を回転させての攻撃。今のところ見せているのは、その二つだ。
まだ他の攻撃方法があるのだろうけど、少なくともこの二つに関しては、どちらもその場から動かない状態での攻撃。……あの異形の獣は、素早く動くことは出来ないのか?
アレン様がディックさんに指示した通り、堅い鱗の部分を攻撃するのではなく、幾分やわらかそうな首を狙うのが得策だろう。けど、アイツの図体はデカい。普通に考えたら、さっきディックさんがやろうとしたように、跳びかからない限りアイツの首を狙うことは出来ない。
……でも、闇雲に跳びかかればディックさんの二の舞になってしまう。
じゃあ、いったいどうすればカウンター攻撃をくらうことなくアイツの首を狙うことが出来る?
首以外にやわらかそうな部分は? ――せいぜい顔くらいだろう。顔なんて、首を狙うよりもっと難易度が高くなってしまう。首よりももっと高い位置にあるのだから。
それじゃあ、あの堅い鱗を何とかして引き裂くことは出来ないか? ――いや、無理だろう。持っている武器はアレン様も俺も剣。力はアレン様の方が数段上だろうけど、そのアレン様の攻撃でも、あの感じではまともなダメージを与えることは出来なそうだ。
最悪でも、アイツから逃げることは出来るか? ――いや、それも難しいだろう。……負傷しているディックさんがいる状態では。
……考えれば考えるほど、状況が物凄く厳しいものであるということを改めて認識する要素しか浮かんでこない。
(何か……何か打開策はないのか!?)
藁にもすがる思いで、何があるわけでもなさそうな周囲を見回す。……そこにあるのは、俺たちの様子を無言で傍観している木々くらい。
あとは、せいぜいその木々の中の一本に括り付けられているロープと、そのロープに付いている目印用の赤い札くらいだ。
――ん? まてよ、ロープか……。そうだ! 可能性は低いかもしれないけど……もしかしたら!!
「アレン様!」
俺が叫ぶと、必死の形相で異形の獣に立ち向かっているアレン様が、意識は異形の獣に集中させつつもこちらに視線を向けてくれる。
そんなアレン様に、俺は1つの作戦を提案する。
「――私に、アイツの首を狙う作戦があります! 上手くいくかどうかはわかりませんが……。とにかく、一度こちらにっ!!」




