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目を開くと、さすがにもう見慣れたプレストの砦の俺に割り当てられている部屋の天井が広がっていた。
窓外から漏れる日差しに、心地よい室温。……何とも清々しい目覚めだ。
軽く伸びをしながら立ち上がる。窓外を見れば、漏れる日差しに違わない快晴の空が広がっている。
「……さて、今日は見回りに行く日だったよな」
確認するように呟いてから、簡単に身支度をして部屋の外へ出る。
見回りがある日には、まず武具庫で自分の剣を調達し、その後砦の門の前に集合という決まった流れがある。いつもどおりに階段を降りて武具庫に剣を取りに行き、そのまま砦の外へ。
門の前には、すでに数人の仲間が準備万端で集まっていた。見回りの当番はいつも同じ面子……というわけではない。だからいつも親しい仲の人が一緒になるというわけではないんだけど、今日は良く知る顔――ディックさんも見回りの当番のようだ。
「よぉ! 今日はリントも当番なのか」
「はい。……ディックさんと一緒になるのは初めてでしたよね?」
「あぁ、そうだな。こんなこと考えちゃマズいかもしれないが、楽しみだぜ。出来ることなら、お前の戦う姿を見てみたいもんだな」
「はは、そんな楽しみにしてもらえるほどの腕前を持ってはいませんよ。……それに、本当にそんな縁起でもないこと言ってはいけませんよ」
「……だな。まぁ、もしも魔物と遭遇したらの話さ」
「その時は、こっちこそディックさんの腕前を拝見するの、楽しみにしてますよ」
俺の言葉にニヤッと白い歯を見せるディックさん。その様子を捉えたのとほぼ同時に、砦の中からアレン様が姿を現した。
アレン様が姿を現したということは、すなわち既に今日の見回り当番は全員この場にいるということになる。
……もしアレン様が来た時点で姿を現していない者がいたとしたら、それはよっぽど朝に弱い人か、もしくはよっぽど命知らずな人だろう。
「諸君、今日もザイウェン国の平和のため、マーブック地方の平穏のために力を貸してくれ」
アレン様はそう言うと、サッと自らの剣を天にかざす。そして、その動きに合わせるように、見回りのため集まった面々も各々が持つ武器を天にかざす。
「――我々の力が邪悪なるものに打ち勝ち、我が同胞と民に輝かしい笑顔が戻るその日まで!!」
『――おぉっ!!』
皆を鼓舞するように叫ぶアレン様と、それに応じて覇気を見せる見回り当番の面々。
これが、見回りをする際に必ず行う一種の儀式のようなもの。この儀式が終わると、アレン様を先頭に見回りへと繰り出していく――はずなんだけど、何故か今日はアレン様がすぐに動きを見せない。
いったいどうしたのかと思っていたら、砦の中からリギュン様が姿を現した。リギュン様が見回りの輪に現れるなんて珍しい……というか、今まであったことがない。
何か重大な報告でもあるのだろうかと、意図せずして気が引き締まる。けど、リギュン様の後ろに続くように砦の中から現れた人物によって、俺は表情が一変するのを自覚することに。
リギュン様の背後から現れた人物。――昨日見たドレスを身に纏った優莉が、少しうつむき気味に俺たちのもとに歩み寄ってきていた。




