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Not Only But Also  作者: 加減乗除
第3章
92/106

3話 夜散歩 3

 除

 うちの学校は大陸のほぼ中央に位置している。

 故に、もっとも『都会』ではあるのだ。すなわち、あらゆるものが『最大』と言っても過言ではない。

 まあつまり何が言いたいかと言えば、この学校も大きさとしては最大級なのだ。


 そして学校の校庭の奥には小規模ながら(と言ってもかなり大きいが、)森があるのだ。

 アレンはそこに俺を連れて行った。


「何だってんだよ」

「いいからいいから」

「こんな気持ちのいい夜なんだから、森みたいな気味の悪いところやめにしようぜ?」

「何だよ、怖いのかい?」

 とアレンは笑う。

「……怖くねーよ!」

「そう。だったらいいよね」

 とアレンはそのまま先に進む。俺はそれを静かに追う。

 そして5分くらい歩くと、少し開けた場所についた。

「ここだ」

「ここがどうかしたのか?」

「ほら、空を見てごらん」

「空?」

 俺は空を見上げた。


 森の木々が開けた空に、無数の星。

 それぞれが輝きを放っている。

「隠密の古代の術式にはあの星々が関わっているって言われてる。それは呪術や魔術も一緒らしいね。あの星空がこの僕らの世界を守ってくれているのさ」

「これが……」

 思わず感嘆の言葉が出る。

「どう?」

「すげー……」

「だろ?」

「これが見せたかったものか?」

「ああ。でももう一個、すげーのがある」

 と、アレンは笑った。

 それからさらに歩き始める。

「今日は運がいいからな。いい感じの場所に月がある」

「月?」

「最高に月が見やすい、スポットライトの様な広場さ」

 とアレンはどんどん進んでいく。

「っと、先に君に行ってもらおうかな」

 アレンはそう言って笑った。

 俺は指示に従って前を歩く。

 しばらくすると広い場所についた。

「……」

「どうだい?」

「ああ、すごいな」

「だろ?」

「毎晩、お前は犯罪まがいのことでもしてたのか?」

「……え?」

 と、アレンは俺の前を見る。

 俺たちの視線の先の広い広場の一部を月明かりが照らしている。

 そこには倒れた少女。

 スポットライトのように照らしていた。

「見せたいものってこれか?まあ、お前の色恋に文句をつけるつもりはないけど、オレガノに何も言わずにこんなことをするのはどうかと思――」

「いやいや、違う違う。僕も予想外だ」

 と、アレンは静かに駆け寄る。

 俺もそれを追う。

 その人は少女だった。

「……気絶しているだけみたいだ」

「それにしても、白いな」

 肌は白く、衣服も白い。髪の毛も限りなく白に近い白銀だ。

「……どうする?」

「いくら校内で安全とはいえ、放置しておくわけにはいかないだろうけど……」

 とアレンが少女の体を軽く持ち上げる。

「……緊急事態だ。急いで帰ろう」

 と、今度は全力で少女の体を持ち上げた。

「どうした?」

「軽い怪我だけど、毒が回りつつある。オレガノを呼んで解毒してもらうことにしよう」

 言っていることは冷静だが早口であるため、危険であることが分かった。

 俺たちは森を走って抜けた。


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