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2話 夜散歩 2
夜になった。俺が校庭に出ると、アレンが隅にある花壇の垣根に座っていた。
「今日は風が心地良い。散歩日和だよ」俺を見つけたアレンはすっくと立ち上がった。
清涼な夜風が闇を吹き抜ける。月で照らされた木の葉が揺らいだ。
風が体を透かすようなこの感覚……
なるほどな、と俺は心の中で相槌を打った。
「んじゃ、行こうかオギ」アレンが背を向けて歩いていくので、俺はその台詞に従い、走ってアレンに追いついた。
「…綺麗だな」しばらく歩いていると、俺は思わず呟いてしまった。
夜の校庭は昼とは全く違う顔を見せる。人の心を感傷させる静寂の夜闇の中で展開される清雅な風景。詩でも書けそうだ。
少し先に進むと、突然アレンが、見せたい物があるんだ、と言って俺の手を引いた。