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Not Only But Also  作者: 加減乗除
第3章
90/106

1話 夜散歩 1

90話めです。

―減―

 ――――かくして学食戦争なるものは終了し、それから数日が経過した。


 単位も前の屋敷の護衛で稼いでどうにか切りぬけ、今学期は終了。メリアは本家に顔を出しに行ってしまい、今休暇中、俺はすることがなくなった。

 アイスもゲット出来なかったしな。なんだか今回の休暇も何か悪い事が起きそうな気がしてならない。


「はあ~~~」


「オギ、そんなに落ち込まなくてもいいんじゃないかな。半年後にもう一回狙えばいいじゃないか」

 いや、俺はお前みたいに先ばっかり見てる前向きボーイじゃないのさ。


 今はアイスを捕獲できなかった悲愴に暮れさせてくれ。

「いやいや、何でブルーなのさ」


 しかし、今回は悲惨だった。

 一応、もし知り合いと抗争になった時のことも考えて策を練っていたつもりだったのだが、全く役に立たなかったな。

 まあ、メリアといい、アレンといい、オレガノといい、あのクソ狐といい……。


 頭にそれぞれの顔を浮かべてみる。


 ……ああ、どっち道無駄だったか。このメンツじゃ。

 何か俺、この中で最弱な気がしてきた。

「そうでもないと思うけれど……。ところでオギ、今日から長期休暇なわけなんだけれど。何で僕たちは休みに学校にいるんだい?」


「愚問だな」

 アレンは今実家に帰れない事情があるらしい。


 俺は俺で……事情があるしな。


 しかし、休暇になったためかは知らないが、学院もずいぶん閑散としている。

「まあね。今回の休暇は里帰りしてる生徒も多いらしいよ。しかし、この学院も酷なことするよね。里帰りしない生徒は自学自習……もとい、強制依頼が課せられるし」

 まあ、わからないでもない。


 学院は長期休暇でも、世の中は平和にはならないからな。


 俺みたく、帰らない生徒はこの機に学院にしっかりこき使われるのだ。


「まあでも、依頼を受けないっていう選択肢もあるしね。君には剣技の訓練の方が向いているんじゃないのかい?」

「かもな」


 しかし、休暇ともなると、暇でならない。


「アレンは、この休暇中に何かすることあるのか?」

「いや?……特には」

 そうか。よかった、同類が居て。


「まあ、これから特にすることもないし。僕は散歩に行ってくるよ」

 散歩……か。


「なあ、お前、いつも夜に散歩に行ってるみたいだけどさ。具体的にどの辺歩いてるんだよ」

 いつも気になってはいたのだが、俺が気付いた時にはもうアレンはいないからな。


 この際だ。聞いてみるとしよう。

「うーん。まあ、学院の敷地のぎりぎりまで……塀までなんだけどね。広いし、動物とかもいて、飽きは来ないよ。……ついてきてみるかい?」

「いいのか?」


「ああ。たまには一人じゃない散歩もいいだろうさ」

 そう言って、アレンは笑った。

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