I will get it because……
私はそれを手に入れる、なぜなら……。
―除―
「もう少し……」
チャイムが鳴り始めた。生徒の足音が激しくなるのを感じた。
勢いを留めずに、食堂へ。
数量限定で、しかも毎回このように荒れてしまうため整理券が配られる。
数量がわからないので、整理券も何枚配られるのか分からない。
「あるのか……俺の分は!」
目の前に食堂が見えた。すでに何人かが入り込み歓喜の声を上げている。
整理券は中央のテーブルの上に置かれており、もうほとんどないのが分かった。
俺はラストスパートをかけて走りこんだ。
「あと一枚だぞ!」
見知らぬ生徒の一人が俺を見て教えてくれた。ありがとうございます。
周辺には誰もいない。後方も人は5メートル以上離れている。
獲った。取るではない。獲ったのだ。
俺はその紙に手を伸ばす。
ガツ!
「いて!」
「うわ!」
2人の声が重なる。
誰かが超高速でここまで来たがために、衝撃で倒れこんでしまった。
――いや。今はそんな場合じゃない!
俺は立ち上がり、もう一度整理券に手を伸ばした。
俺の右手はしっかり整理券を手にした。
「はい、整理券終了。さっさと帰んなー」
学食の気のいいお姉さんっぽい人が周りの人に言う。
残念そうな声を出して、後方にいた人たちは引き返していき、そのうち数人は普通に食べに来たようで、他のメニューの食券を買い求めて券売機に足を運んでいた。
いや、それより。
俺は自分の手にしている整理券に目を落とした。
整理券は俺の手だけに確保されている者ではなかったのだ。
もう一人、この整理券を掴み取っているものがいた。
「……アレン」
「オギ……」
そう、そこにいたのは親友のアレンだった。
「なるほど。あの状況で俺の手に衝突できたのはアレンのスピードだからこそか」
「ちゃんと見ていなかったからぶつかってしまった。集中していたら、腕を避けて普通にとれたのだろうけどね。申し訳ない」
「申し訳ついでに、これは俺に譲れ」
「それはそれ。これはこれだ」
お互い離そうとはしない。
ちなみに分けるという考え方はない。もうこうなってしまえば、自分の手にするまでは引くわけにはいかない。
「……やるしかなさそうだな」
「ああ。整理券のおかげでなくなると思っていたけれど、まさか僕らがやることになろうとは……」
アレンはそう言って少し笑った。
俺も笑いたくなる。
初めての親友との真剣勝負。
「「学食戦争だ!」」