43話 終わり良ければ全て良し
80話。
短め。
―除―
「ここまでにしましょうか」
クロウはそう言った。
キョウさんにとってもそれは嬉しい申し出だったが、突然すぎて意味が分からない。
「流石にあなた方2人を相手にするには全力を出さなければならないのですが……私の全力は地球の滅亡を招きかねませんので」
何しろ『拘束』ですから。
クロウはそう続けた。
「あなた方に一応、教えておきましょう。私の拘束魔法:肆式を」
そう言ってクロウは――
消えた。
「え……」
消えた、という表現。素早く動いたわけでもなく、俺たちの眼を拘束したとかでもなさそうだ。
「私の肆式は『時間』を拘束するのです」
そう言ったときには俺の背中に座っていた。
重さたった今来たことから、以前から後ろにいたのは考えにくい。
いや、それ以前に。
「時間を拘束する……!?」
それはつまり――。
「時を……止める!?」
「まあそういうことですね」
そう言ってクロウは、静かに俺の背中から離れる。
「マリーさん。貴方にこの屋敷の全権限をお譲りしますので、私の最初で最後のわがままです」
「貴方にはそれ以上の迷惑をかけられています」
「最初で最後のわがままです」
スルーして言い直したクロウは、こう続けた。
「お嬢様をよろしくお願いします。真実を伝えるなり、嘘を吐くなりお好きなようにしていただいて結構ですが、どちらにせよ『お怪我、ご病気のなさらぬように』とお伝えください」
誰かが行動するまでもなかった。
その時にはもうクロウさんの姿はなく、俺たちへの拘束も解除されていた。
マリーさんを除く俺たちはその場に倒れ伏すことしかできなかった。
時間を止めれる相手にどうやって勝つんでしょうか。
―除―