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Not Only But Also  作者: 加減乗除
第1章 侵入者戦争編
8/106

8話 この世界の構成要素は、理不尽。

 加減乗除です。

 8話目。

 本当に、理不尽な世界ですよね。

 ―除―

「まぁ・・・・・・アレだ」

 俺はそう言って立ち上がり、メリアを見た。

「どんな楽そうな依頼も、お前と行くとろくな事にはならない」

「それは偏見よ。大体、この依頼を受けたのは貴方でしょう」

「お前が関わってるってだけで、十分な理由になりそうだ」

「後で話し合いね」

「今は目の前の敵を、か・・・・・・」

 俺は自分の武器を。

 自分の武器を・・・・・・。

 あれ?

「どこ行った!?」

「はぁ!?」

 メリアはそう言って、俺を睨む。

「全く・・・・・・役に立たない」

 言って、

「呪文詠唱」

 メリアは呪文詠唱を始めた。

「火よ、重なり合い炎となれ」

 詠唱により、手の上に炎が出来る。

「詠唱魔法。炎よ、地を離れ鳥となり飛翔せよ!」

 そう言ってメリアは炎を投げるようにして、一体のグリフォスに向かって投げた。

 詠唱した通り、まるで鳥のような速さでグリフォスの体を突き抜けた。

「Giaaaaaaaaa!!」

 と、猛獣ならではの叫び声をだし、グリフォスは燃えながら、谷の段差に遊ばれつつ谷底へと消えていく。

「ヨッ!流石、アルメリア様!」

「うるさい!気が散る!大体、アンタが武器を持ってたら、私との連携でこの群れぐらい一瞬でしょうが!」

「いやー、何処にいったのか分か――メリア!」

 俺の叫びを聞いて、メリアは俺の方から視線を外し、正面を向いた。

 グリフォスが眼前に迫っていた。

「しまった!」

 メリアはそう言って、詠唱を始めようとするがグリフォスは雄叫びを上げながら、脚を振り上げた。

 爪が鋭く光った。

「く・・・・・・」

 メリアが防御の態勢を取る。グリフォスは爪で引っ掻こうとしてくる。


 ブォン!!

 という風を切る音を立てて、爪は空を切る。

「大丈夫か!」

 メリアを腕に抱いた状態で、聞いた。

「ありがとう!」

「体張って守んなきゃならないんでな」

 俺の言葉を聞いたが早いか、メリアは立ち上がって、走りこみグリフォスの頭部に手を当てた。

「炎!」

 手から業火を出し、グリフォスを丸焼きにする。

 今のは、略式詠唱。

 単純に炎を出すだけだが、技術の腕の高いものでなければ出来ない高等技術で、呪文の威力が高くなればなるほど略式は難しくなる。

「ナイス、メリア」

 俺はそう言って、群れを見やる。

「・・・・・・しかし、この量はちょっときついな・・・・・・」

「呪文詠唱。火よ、重なり合い炎となれ」

 俺の話を聞いていたのか、いないのか、炎を出す。

「詠唱魔法。炎よ、地を離れ鳥となり飛翔せよ!」

 そして、炎を構えた。

「Giooooooo!」

「Giaaaaaaa!!」

「Giiiiiiii!!!」

 まるで共鳴のようにグリフォス達が雄叫びを上げる。

 何か、まずい・・・・・・。

「くらえ!」

「メリア!やめろ!」

 叫んだが遅かった。手から炎は離れ、鳥のように宙を舞う。

「「「Giiiiioooooooaaaaaaaa!!」」」

 それとほぼ同時にグリフォス達がもう一度鳴き、羽でバサバサと扇ぎはじめた。


 一体一体の風圧がそこまで強くないと仮定しよう。現に、空中で羽ばたいている程度の風圧では炎は止まらないし、一体の羽ばたきでは意味をなさない。

 しかし、群れが一斉に羽ばたけば――。

「!?」

 飛んでいった炎は、向きを変えて、こちらに向かって飛んできた。

「メリア!」

 俺は叫んで、メリアの体を引っ張った。

 炎は先ほどまでメリアが居た地点に落下した。

 強風は未だに吹いている。

「これじゃ、拡散攻撃も防がれてしまうわね・・・・・・」

「くっそ・・・・・・」

 どうすればいい?

 俺は空中の相手と戦うのは何でもないが、空中戦は得意ではない。どころか、武器すら持っていないのだ。

 メリアも同様で、空を飛べないために空中戦は得意ではないのだ。

「アレンとオレガノの方が、これは得意そうだな」

 俺が呟いたのを最後に、グリフォスの内の一体が突っ込んできた。

 他の数体は相変わらず、羽ばたきによって強風を作り上げている。

 炎を出せば、こちらにもダメージが来る。盾も持っていないため、グリフォスの攻撃を防げない。強風に煽られ、避けることも難しい。


 万事休す!俺達にはもう打つ手が残っていない!


 心でそう思った途端。

 ズガン!

 という発砲音がして、グリフォスの体を何かが貫いた。


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