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Not Only But Also  作者: 加減乗除
第2章 護衛編
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41話 空谷の跫音

くうこくのきょうおん。

人気のないさびしい谷間に響く足音。転じて、孤独なときに思いがけなく人が訪れたり便りが届いたりする喜び。

 キョウさんがその金色に輝く腕をふるい、素早くクロウに距離を詰める。


「ぐっ」

「はっ! ざまあないな、クロウ。いくらお前でも、俺とマリーメイド長が相手となれば、さすがのお前も、逃げられはしないだろう」


 キョウさんの拳が素早く動き、クロウが防戦に努める。

「く……そっ……」

「オギ、どう……なってるの? 私の向きからじゃ……見えない……」


 後ろからメリアの声とオレガノのうめく声がする。

 あれだけの肉弾戦を続けながらも、新たな戦力を増やさないためか、俺達の拘束は離していない。

 そこはさすがというところか。


「キョウさんと……クロウが……戦っている」

「戦況は……?」


「キョウさんが……今は押している……」

「そう……」



 俺の目の前でレベルの違う戦闘が繰り広げられている。


 キョウさんの方が圧倒しているように見える。見えづらいが、マリーさんがその糸を張り巡らせて戦闘エリアの周りを囲み、退路を塞ぐ。


 だが、あの時、一瞬の圧力。

 クロウから感じた圧倒的な殺意。


 それが今は、まだ刀を収めている。


「ふん、腕が鈍ったのか!? クロウさんよお!」

「……ふふふふふふ……」


「……何が可笑しい」


 いったんキョウさんが下がり、不敵な笑みを浮かべるクロウを見据える。

「ふははは……。貴様らはまだ分かっていない。分かっていない!!」


「なんだと?」


 クロウが腕を振り上げ、睨みつけるような視線をこちらに向ける。


「貴様らはまだ理解していない。あのクリスタルが……あのパンドラの箱がいかに重要なものか。黒き漆黒のクリスタルに秘めらられしモノが、世界をも揺るがす力を持っていると」

「クリスタルだあ? なんでどいつもこいつもあのクリスタルにこだわる?」


 キョウさんがうざったそうに唸る。

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