37話 同日の論ではない
差が大きくて比較することができない。同じに扱うことができない。
の意です。
―減―
クロウさん……いや、クロウがその鋭い瞳をこちらに向けたまま話す。
「やはりあの学院の生徒は侮れない。ふん、さすがにあやつの学院というだけはある」
プレッシャーに押し負けている俺達に向かい、クロウが手を向ける。
「拘束魔法:壱式、発動」
「ぐっ……」
拘束術式……。
やはり、あのキメラを殺したのも……。
「ふ、そうだ。私は拘束術式の使い手。……無駄話は無用だ」
身体が動かない……。
「ぐうっ……」
「から……だ、が……」
後ろからメリアとオレガノのうめき声が聞こえる。
二人も同じ状況にあるらしい。
「とはいえ、貴様らが消えては皆が怪しむな。とりあえず、記憶は消させてもらうぞ」
まずい……、クロウが糸を引いていたと、屋敷の人々に知らせなければならない。
ここであっさり負けるわけにはいかない。
だが、どうすれば……。
「――――、―――――」
「……?」
何だ? 声が……。
「オレガノ……」
この声は……
「広域型……呪術式……、呪縛……」
「なに!?」
そうつぶやいたオレガノの足元から黒い魔方陣が急速に広がり、それの範囲がクロウをも包んだ。
「よし! オレガノ、いいわ! 今度は私が……」
「止めろ、メリア」
「何でよ! オギ!」
俺は目の前の、呪術を身に受けながら全く反応を見せていないクロウを睨む。
「忘れたのか? この屋敷にあったのは、兵士や俺達だけじゃない。あの罠魔法を破ったのは誰だ?」
「あ……」
それもおそらく、こいつ。
「オレガノの広域呪術も、解呪の前では、無意味だ」
「わたしの……呪術が効かない……!?」
「ふん、物解りの良すぎる、生意気な餓鬼どもめ」
禍々しい呪術の魔方陣の上を悠々と歩くクロウが言う。