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34話 仕上げが肝心
―乗―
「…………それに……ね……」ここでオレガノが前に出た。いつもより重い足取りだった。左手で何かを摘んでいる。
「…………盗聴機なんて仕掛けるなんて本当したたか……」左腕を延ばし、摘んでいるものを掲示する。青白く油光りする1センチ程の肉塊の先端で無数の赤い触手達が揺れていた。
それが、オレガノの指の先で垂れ下がっていた。
「…………ゲル。使役キメラ。四六時中、マスターに自分が拾った音の情報を飛ばしてるの。コレは死んでるから大丈夫だけど」
ゲルの死体を足元に放ると、靴で踏みつぶした。クチャリ、と小気味良い音が鳴った。
「…………屋敷内に百数十匹。駆除に三時間も費やしたの。しんどい」