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Not Only But Also  作者: 加減乗除
第2章 護衛編
61/106

24話 天は自ら助くる者を助く

これ、何話くらい続くんでしょうね。


61話目、個人的には素数で好きじゃないです。


―加―

「何だ今の声は!!」

「ちっ、悟られたか!?」

「仲間を呼ばれる前に始末するぞ!!」


 黒服達が慌てて僕の元にやってくる。


「さて、これ全員を僕が相手するのか」


 できればさっきの大声で救援に来て欲しかったんだけど、不思議なことに屋敷からは誰も出てこない。


「どこ行った!?」

「探せ!!」

「俺が探す!!。深き湖、水面に跳ねるは獲物の波紋。導け」


 今のは探索タイプの魔法!?


「ここから1時の方向、距離は――――ごはっ!?」


 ばれるなら仕方が無い。


 アレンはそこから目にも留まらぬ速さで飛び出し、探索の魔法を出した男の腹を思い切り殴った。


「お前が、俺達の仲間をっ……!!」

「やっちまえ!!」


 黒服たちもいっせいに囲んで魔法や体術を放とうとする。


 が。


「遅い」


 アレンは周りを取り囲んだ黒服全員の急所を的確に鋭く突いた。


 十人ほどが同時に膝を突いて倒れる。



 隠密師にとって、数は問題ではない。

 むしろ、数が多いほうが数的有利という相手の隙を突く事ができ、有利になることが多々ある。


「意外に、脆い」

 どうしたものかとアレンは周りを見渡す。


「お前ら、マンガで出てくる噛ませ犬じゃねぇんだから。たかがガキ一人にばったばったとやられてんじゃねぇよ」


 その声は、後ろから聞こえてきた。


 僕が。

 後ろを取られた?


 油断している間に、突く!!


 アレンは後ろを向いたままバックステップのみで一気に迫り、正面を向こうと回転しながら相手を殴った。


 振り向いてから殴りかかるより、このほうが相手の隙をつけたと思っての行動だった。


「おいおい、いきなり殴りかかるとはキレた少年だな」

 だがその拳は、黒服たちを沈没させたその右拳は、易々と片手で止められていた。



 まずい。

 まずいまずいまずい!!


 隠密師としての勘が、アレンの勘が、そう告げていた。


 目の前にいたのは、やはり黒服。


 けれど、ただの。先ほどまでの黒服ではない。

 威圧感が、違う。


 格が違う黒服は、アレンの右拳を握り締めたまま離さない。

 むしろ、その右拳をさらに手で握り締めるようにして、壊しにかかっている。


「……」

「声の一つや二つくらい上げても良いだろうが」

 その男は冷めた目をして、アレンの拳から手を離す。


 アレンは自分の右拳を見ると、自分の指の爪が手のひらに突き刺さっており、指の骨はほとんどが脱臼、もしくは折れていた。


 こいつから、離れる!!


 常人が見れば瞬間移動とまで言われる速度。


 逃げ切れる!!


 アレンはその場から全力で撤退しようとする。


「逃がすわけ無いだろうが。これ以上任務果たせなかったら俺が死ぬっての」

 しかし、アレンの願いは叶わない。


 黒服はアレンの速度に追いついただけでは飽き足らず、その首を掴んで宙に浮かす。


「く、かはっ……」

 気道を圧迫される。


「さて、色々と聞きたいことがあるんだがな。少年。まずは――――」

 その聞きたいことを聞くことは出来なかった。


 何故なら。


 上から降ってきたある男の手が黒服の頭を鷲掴わしづかみ、地面にめり込ませたからだった。

 

 アレンはその勢いで地面に放り出された。


「ケホッ、ケホッ、。確か、あなたは……」

 せきこみながらもその男の顔を見る。


「キョウチクトウだ。ま、ここまで掃除できたことは褒めてやる」

 黒服の頭を地面にめり込ませたキョウチクトウは、アレンに微笑む。


「一つ、質問があります。余りにも、余りにも屋敷が静か過ぎるのですが……」

 アレンはすぐに冷静になる。


「本当だ。()()()()何にもおきてないように見えるな」

「外から見たら、ですか?」

「中はてんやわんやだぜ? おそらくこいつらは陽動だ。中にいる面子はお前の仲間でも相当苦戦、しかも負ける感じがする」

「……嫌な予測ですね」

「俺の勘は当たる。経験値がお前らと違うんでな」

 苦い顔をする。


「本当は俺も中にいたかったんだがな」

「ここに助けに来たのも、勘ですか」

「その勘に助けられてんだぜ」

 

 その時、ゴリと音がする。


「いきなりフェイスクラッシャーかますとは思えなかったな。いやまったく。しかもその後俺の事忘れてどうでも良い話しやがって。陽動にだって意地があるんだぜ? 正確には戦力の分断だが」

 黒服は地面から頭を出す。


「ここは俺に任せてお前は屋敷のほうに行け」

「え、ですが……。この人はかなり強いですよ……」

「気にするな。俺はもっと強い」

「……分かりました」

「それくらいあのオギって少年も素直だと俺も面白いんだけどねぇ。君、あのオギ少年の友達だろう? 普段のオギ少年は―――――ーっていねぇ!!」


 どうやらアレンは会話中に屋敷に向かったようだ。


「おいおい、俺が行かすとでも!!」

 駆け出そうとした黒服の前に、キョウチクトウが足音をダンッと響かせながら立ちはだかる。


「邪魔する気か?」

「ここを通りたかったら、俺を倒してからいきな」

 腕を組んで黒服の前に立つ。


 その気迫は、黒服にも負けていない。


「なるほどな。さっきの少年よりは面白そうだ」

「俺も久しぶりにアンタみたいなレベルの人に会ったよ。さぁ、顔と地面をディープキスさせてやるよ」


 庭園で死闘が、始まった。

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