23話 籌を帷幄に運らし勝ちを千里の外に決す
記念するわけでもない、60話。
ちなみにこの世界と我々の人間世界の常識とは違うという設定なので、滑車の原理に関して説明していますが、皆さん分かりますよね?
―除―
「・・・・・・」
そもそも諜報部員に過ぎないような僕に出来る事なんて限られている。
正面突破よりは作戦勝ちで行くしか方法論としてはないと思う。
ともすれば、やはりあの扉の先に何かしかけることが最大限の努力だとは思う。
「誰も見てなけりゃ、いいよね」
僕は呟いて、巻物を取り出す。中心に『秘』と書かれている。
「空間枷外」
と続けた。
巻物の中心に書かれた『秘』という文字から一気に発煙した。
ドロン!という効果音が似つかわしい。
そこから1つの黒い布に包まれたものは落ちてきた。
「よし」
その中にはベルトが入っており、そのベルトには色々な加工がされてあった。
右側の腰に短刀を備え付け、左側にはポーチのようなものがついている。ポーチの中には『隠密』の人間にしか使えない武器が入っている。
さて、準備は完了。
先手必勝だ。
「行くぞ」
敵の声が聞こえて扉を開く。
「うぉ!」
開けた瞬間、戦闘のリーダーと思われる男が上に向かって引っ張られた。
「な――」
残りの2人は当然、視線をそちらに向けて動かす。
でも残念、『滑車の原理』だ。
縄を地面に仕掛けておき、輪のようにしておく。そしてその輪に足がが入った瞬間に引っ張ればその人間の足を捕まえることが出来る。そして『滑車の原理』と呼ばれる方法で上に引っ張り上げるのだ。
リーダー格の男は頭部をぶつけて気絶する。
その瞬間に男を縛り付けた縄を地面に固定してから、瞬間的に2人の男に走った。
僕の速度は人間の目から見れば、影のようにしか見えないということになる。
そして『隠密専用』の魔法靴を使って速度を上げる。
もうこれで僕の速さは人の目には追いかけられない。
僕は短刀を掴んで男の1人を刺す。その男が悲鳴をあげる前にもう1人の男を新たな短刀で刺した。
それから2人ののどを押さえて、地面にたたきつけた。
「悪いね」
僕はそう言ってから手刀で2人の男ののどを突き刺した。
完了。
さて、お次の作戦といこうか。
「うわぁあああ!!」
僕は大声で叫んだ。