15話 明日は明日の風が吹く
意味不明。
もういいや。
―除―
少し前に時間軸を戻すとしよう。
聖エンテルミナ学院内。
正式に依頼を受注するために俺達は掲示板のところへ立った。
で。
目の前に3人の男達が現れた。
「何・・・・・・ですか」
思わず敬語。
それくらいの威圧感を持っていた。
威圧感・・・・・・それは自信や功績に見合っている『何か』であることは確かだった。
「あー・・・・・・」
背後から1人の男が現れた。
「えっと、どうも発注ミスらしくてなー。Aランク任務には置けれないんだよ」
そう言ったのは、教師科のゴルゼキアだった。
確か、この間の事件の時にゼロを助けた・・・・・・先生だったはず。
「どういうことですか?」
とメリアは尋ねた。
が、本心では分かっているはずだ。
教師科のような上級戦士がここに居るということは、他の2人も同様の力を持っているに違いない。
そして、俺達を止めなければならないくらいの危険な任務であることはまず間違いない・・・・・・。
「いや、だから発注ミスなんだよ。悪いな」
そう言ってゴルゼキアは俺達の持っていた受注予約の紙を奪い去った。
「待ってください」
そう言ったアレンは、取られたその紙を取り返して立っていた。
「これは予約ですよ?僕らが先にとった依頼です。受注ミスでもそれはもう効力を発揮しないのでは?」
「・・・・・・先生の物を奪い去るってのは、あんまりいい子とはいえないけどな」
もう1人の男が、小さな拳銃をアレンのこめかみに当てた。
「・・・・・・学院内での武器の使用は固く禁じられています。教師科の者も科に属する以上『生徒』ですから」
そう言ったのは、アレンでもオレガノでもなかった。
当然、俺でもなかった。
居たのはどこからともなく現れたオレガノだった。
珍しく、立て板に水で言葉を口から紡いでいた。
「・・・・・・」
銃を持っていた男は静かに放すと、話をゴルゼキアに預けるように下がった。
「でもよー、分かってるだろ?こうやって俺達が現れたってことは、お前らに任せられるような依頼じゃないんだよなー。受注ミスは仕方ないんだから、そのまま受け入れてくれないか?」
そう言ってゴルゼキアは笑った。
「・・・・・・受注ミスって言うのは、もしかして機械の故障の所為か?」
俺は敬語をやめて、ゴルゼキアに訊いた。
「ああ。よくわかってんじゃん。だったら――」
「だったら俺達が取りやめることは出来ないな」
そう言って俺は笑った。
「・・・・・・説明してもらおうか?」
「俺がここにいるのは、その機械の故障によって単位が足りていないから、その長期依頼を受けなくちゃならないんだ」
「それは残念だったとしかいいようがないぜ?」
「いいや。ある」
そう言ってアレンがニヤリと笑った。俺の意図が分かったのだろう。
「校則では、機械でのトラブルは生徒の自己責任という校則がある。そしてこの校則は生徒に適用される。教師科の者も『生徒』である、ということに関しては、先ほど否定されなかったので、この校則はそのままあなた方に適用される・・・・・・」
「・・・・・・なるほどな・・・・・・」
ゴルゼキアは苦笑を浮かべる。
「この依頼の処理は?」
「・・・・・・仕方が無いな」
そう言ってゴルゼキアはこう続けた。
「お前の単位は何とかしてやる。だから、その依頼はお前らの受注を禁止する」
「!!」
言い負かされて諦めるのが普通だが、ゴルゼキアはそう提案してきたのだ。
「何とかって・・・・・・」
「いいからよこせ。絶対進級はさせてやる」
強い威圧感で、ゴルゼキアは迫って来る。
何なら殺してやろうか、とでも言ってきそうだ。
「そこまでにしておこうか」
突然、1人の青年が現れた。年齢的には多分、ゼロと同じくらい。
「・・・・・・!!」
ゴルゼキアと周りの男達は顔を変えた。
「心配しなくても大丈夫だよ。次席のアルメリア・フェアリ・エーデルワイス、呪術科きっての秀才のオレガノ・ルード、隠密師として育てられてきたアレキサンドリア・ノーゼが居るんだ。大丈夫さ」
そう言って青年はゴルゼキアたちの方を触った。
「ああ、そうそう。オギ、だっけかな?」
青年はさらにそう続ける。よく分からないが、俺は基本的には有名でも何でもないらしい。
「君がいるならこの任務は簡単さ。そう信じているよ」
そう言って青年は去っていった。
「・・・・・・くっそ!」
珍しくゴルゼキアは表情を強張らせてから、青年の後を追っていった。
あの青年も教師科の恐らく上の方の男なのだろう。
「何だったんだ?」
「よく分からないけど、助かったって感じね」
「運が良かったね」
「・・・・・・ところで、これは何なの・・・・・・?」
4人で小さな会話をしてから俺達はそのまま呆然としていた。
しかし・・・・・・。
ゴルゼキアがああまでして、俺たちを止めようとしたこの依頼・・・・・・。
一体、どういうものなんだろう・・・・・・。