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10話 汝の敵を愛せよ
バルキングゥゥゥゥァァァ!!!
―乗―
「……メリア…」
「何よ?」
「詠唱魔法で職員室のパソコン焼……」
「駄目。ていうか、ヤだ。私退学になる」
「そこをなんとか……」
せがんでいた俺の頭をメリアが拳で殴りつける。木魚の様な音がした。痛ぇ。
「頑張りなさいよ」
冷徹な眼差しで俺を見つめるメリア。
「今のまんまじゃ本当に留年確実なんだから……」
「お、おう」
返事はしてみたものの、全く迫が無かった。それはそうさ。
手立てがないのだから。
俺がこの一週間で獲得しなければいけない単位数は生徒平均での四ヶ月分にも及ぶ。とても一週間では埋められない。今更どんなに頑張っても……半月分が限界だろう。
「終わったわね」
うん、終わったな。