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Not Only But Also  作者: 加減乗除
第2章 護衛編
46/106

9話 臍を噛む

 46話目になりますかね。


 「ほぞをかむ」。諺の意味は、後悔すること。


 ―減―

「――――と、いうわけさ。後は、二人にお礼を言って、物凄い速さで走るオレガノを追いかけて、ゴーレムとの戦闘に入ったわけさ」

 アレンはそう言うと、眠いのだろうか、あくびをしながら部屋の中へ戻っていく。


「それは大変だったな。お疲れさん」

「今言われてもね……」

 俺はベランダで立ったまま、アレンに話しかける。


「しかし、何者だったんだろうな、狐野郎の言ってた……なんだっけ」

「調教師のことかい?」

「ああ、それだ。学院から寝返ったんだろ? 別に得なことがあるわけでもないのに」

「そんなこと、僕には分からないよ」

「だよなあ……」


 学院と暗に敵対している組織なんてもの、片手じゃ数えきれないくらいあるからな。

 どんな条件を突き付けられたにせよ、学院を裏切ったとなると、ただでは済まない。

「それほどの覚悟を持たせる何かがあったんだろうね」


 アレンが考え込むようにベッドに伏せる。


 何が狙いなのか、はたまた気まぐれだったか。


「わからないな、全く」

 空を見上げれば、青白く光る星の群れ。


 明日には戦士科棟の修理も終了するだろう。

 ようやく、いつもの日々が戻ってくるわけだ。


 別に俺は戦闘狂(バーサーク)ではない。ただ、怠惰なだけだ。


「とりあえず、眠ろうか」

「そう、だな……」


 俺も自分のベッドに倒れ伏す。

「アレン、風呂は?」

「まだだけど?」

「あ、そう……」


―――――――――――――――――――。


 翌日。


 俺はいつもの通りに目を覚ました。

 

 アレンはいない、もう出て行ったようだ。


「さて、と……」


 顔を洗い、歯を磨き、刃を磨く。

 このくらいのことは習慣づけている。さぼったりはしない。


 さて、今日はどうしよう。

 依頼か、試合か、授業か……。


 そう思った時だった。

「オギ!!」


 急に部屋のドアが乱暴にこじ開けられた。


 その先には、急いで来たのか、制服を乱れさせているメリア。

 しっかりしろよ。ただでさえお前、可愛い方なんだから。

 才色兼備の隣にいる俺の身にもなってくれ。


「オギ、大変よ!」

「どうしたんだ?」

 またゴーレムでも現れたか、悪運強い学院だな。毎度毎度思うけれど。


「これを見なさい」

 そういってメリアは、一枚の紙を俺の目の前に突き付けた。


「? どれどれ……」


 えーっと、『緊急 情報操作による誤認識のため、学院内の記号表記の情報が間違っているものがあります。以下の情報に誤りがありました。学院側での対処、及びサポートに伴い、正規の情報に基づいた行動をしてください』


「……何?」

「その下、生徒の成績に関する誤情報のところよ!」


 なになに……、俺の名前と、学年、間違っていた情報は……

「た、単位の数字が間違っていたあ!?」

 マジか!? しっかりしてくれよ学院さんよ。

 しかも正規の情報だと、俺の単位は足りてない。


「そう。一週間後には単位進級検査があるわ。それまでにその足りてない単位を稼いでおかないと、あなた……落ちるわよ」


「おいおい……」

 冗談だろ!?

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