8話 生き馬の目を抜く
もう言葉の意味的にはえぐいよね。
加減乗除、45話目。
―加―
急がないと、僕達の学校が危ないのに……。
「とにかく、私達としてもあの子達を追い払わないと色々めんどくさそうなのよね」
シナモンさんはいまだ攻撃を続けているバルを見て呟く。
あの子達はバルやバルキングのことか。
「あの量は、僕も頑張らないとね」
腰につけている二振りの小刀を構える。
「じゃあ、オレガノちゃんは呪って動きを遅く。サフランちゃんはいったん戻ってけが人とかに塗りこむ薬の手配をありったけ。私は前線に出ますの」
シナモンさんが手際よく進めていく。
年の功、というやつだろうか。
「アレンちゃんは学科は何ですの?」
……。
ちゃん付けはデフォルメだったのか。
そりゃ満122歳の目線から見ればそうだろうけど。
「隠密師です」
「……アレンは強い。保障する」
すでに魔法の術式をくみ上げてバル達の動きをゆっくりにしているオレガノが、自信を持って言う。
「オレガノちゃんにそこまで言わしめるんだったら、大丈夫そうね。一緒にやるわよ」
「一緒にですか?」
確か今年で123歳じゃ……?
「久しぶりの実戦、腕がなるですの」
ブンブンと腕を振り回すシナモンさん。
「自陣加速」
アレンがそう呟くと、アレンの足元に円状の幾何学的な模様――――――魔法陣が描かれる。
そしてその魔法陣が消えると、アレンの身体がほのかに光っていた。
魔力について詳しく解析し使っていくのは魔術師、治癒師、呪い師だが、別に他の学科で魔力を全く使わないというわけではない。
むしろどの学科でも普通に使われている。
ただ魔術師等とは違って、学科によって相当に際どく使えるもののみを教えてもらうが。
アレンは止まっているバル(正確には非常にスローモーションで動く)を踏み場にして一気にバルキングまで迫る。
そして次の瞬間にはアレンが大きなバルキングをすり抜けたかのように後ろに出る。
「終わり」
アレンが地面に着地と同時に、スパンとバルキングが斜め十字に切り開かれた。
「あらー、私は必要ないですの?」
シナモンさんの言葉が響いた。




