表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Not Only But Also  作者: 加減乗除
第2章 護衛編
44/106

7話 蝶よ花よ


 加減乗除。


 全然意味通して無いね。まぁ、この諺、私は好きですよ。


 ―除―


「あれは・・・・・・」

 オレガノが呟く。

 僕も自らの脳内図書館を検索する。

 ・・・・・・見つけた。


「バルキング・・・・・・」

「だね」

 オレガノの発言に僕も同調してから、巨大な蝶を見上げた。

 周りに居る小さな蝶は、『バル』と呼ばれる殺傷能力の高い蝶だ。そして名前どおり、それらの王とも取れるくらいの指揮能力がある巨大な蝶を『バルキング』と呼ぶ。

 バル『キング』と呼ばれるのだから、巨大な蝶は『バル』の雄だ。繁殖されるほとんどの『バル』は雌で、その中で生まれた雄の『バル』と同時に繁殖された雌の『バル』とで、新たに繁殖されていく。

 雄の生まれる確率は極端に低いが、一匹雄が生まれればそれで十分な繁殖能力があるので増殖する。

 あまり関係ないような話に思えるが、そうでもない。

 あそこにバルキングがいるということは、それに付随するように多くのバルが居るという事だ。


「おかしいわね・・・・・・」

 と、シナモンさんは突然言った。

「何がですか?」

「確かにあの森・・・・・・アロネの森には、バルやバルキングが生息しているわ。ドワーフたちの森だから、木々も高々と伸びていて、あの子たちも隠れやすいでしょうしね」

「たしかに、あの森なら収まりそうですね・・・・・・」

 僕は奥に見えている森を見た。

 ていうか、化物まで『あの子』扱いか・・・・・・。

「けれどアロネの森にはそこまで荒れ狂うような怪物はいないから、ああしてわざわざドワーフたちの居るところに現れることは無いのよ。それにあの子達の殺傷能力を持つけれど、あれは攻撃を受けた際に防御するための能力だから・・・・・・」

「ということは、あの『バル』たちに何かが起きたと・・・・・・」

 と、落ち着いていると

「シナモン先生!」

 と遠くから髭を蓄えた、ドワーフの男性が来た。

 どうもシナモン先生という愛称はサフランさんだけではないらしい。

「どうかしましたか?」

「森の怪物たちが、森を抜け出して中央に向かっている!!」

「・・・・・・中央!?」

 オレガノの表情に焦りが浮かんだ。

 その表情を見て僕も気付いた。

「まさか、ササガケですか!?」

「あ、あぁ・・・・・・」

 ドワーフの男性は

 ササガケ・・・・・・アンモルド大陸の中心に位置している都市。


 ここまで言えば分かるだろう。

「僕らの学校が・・・・・・聖エンテルミナ学院が危ない!!」

 僕らがそう言って焦っているのを知ってか知らずか。


 バルキングはそんな僕らを煽るかのように、声とも言えない鳴き声を上げて、風を巻き起こし始めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ