4話 親しき仲にも礼儀あり
今回は分かりやすい諺。
少し文の意味と違いますが。
意味は持たせないので。
―加―
「……行くわよ」
オレガノはゼミル高山を前にして迷うことなく一つの洞窟を目指す。
その洞窟の前には『シナモン&サフラン薬剤店』と書かれてある。
「こんなところで薬剤店?」
「……森に囲まれた山だとこういう店が無いから、ある意味適材適所よ。それにここの薬は、よく効く」
オレガノはどんどん洞窟の中へ入っていく。
僕もそれに続いて中へ。
この洞窟はさっき見た山に開けられたドワーフのものより大きめで、入りやすかった。
洞窟を前に進んでいくと、ドアが現れた。
どうやらここが薬剤店らしい。
「いらっしゃーい、今日は何の――――ってオレガノ、久しぶりね!!」
「……本当に久しぶりね。サフラン」
ドアを開けると、オレガノの前にある女性が出てきた。
どうやらこの人が前の看板に書いてあったサフランさんのようだ。
ドワーフ達の山にしては珍しく人間のようで、活発そうな顔立ちで目は茶色、ショートカットの金髪をゴムで後ろで縛っていた。
どうやらこの人が人間だから、この洞窟も大きめ(人間からしたら少し小さいくらい)なのだろう。
アレンが考えていると、店の向こうのほうからとことこと走ってくる小さな人影があった。
「オレガノちゃん、久しぶりですのっ!!」
その人影は思い切りオレガノに飛びついた。
「……シナモンさんは相変わらず、ですね」
この小さな人がシナモンさんらしい。
茶色の髪にあどけない表情で、元気いっぱいな感じがある。
この人はドワーフだろう。
「そちらの方は誰ですの?」
ギュウと抱きついたままシナモンさんが顔をこちらに向けてきた。
「あ、僕はアレンって言います。オレガノの護衛で来ました」
「なーる、オレガノちゃんの彼氏さんですのね?」
「なっ!?」
一体いきなりなんて事を言い出したんだこの子は。
「シナモン先生、あんまり思春期の男女をからかうもんじゃありませんよー」
「だってー。二人とも可愛いんですもの」
そういうシナモンさんの顔は、先ほどのようなあどけない顔ではなく、魔女のようなほくそ笑みだった。
「……言っておくけど、シナモンさんがこの中で一番年上だからね」
「そうなのか?」
「ドワーフ族は寿命も長いの。シナモンさんは今年で確か123歳だったはずよ」
「123歳!?」
そりゃ凄いな、というか詐欺だ。
「……シナモンさんはここで薬の調合を行って暮らしているの。ゼミルの魔女といえば、それなりに有名よ?」
「どうしてそんな人と知り合いなんだ?」
「……昔に、お世話になった……」
「ほらほらオレガノ。昔話をするのも良いけど、アンタここに用があってきたんでしょ?」
「……そうだった。シナモンさん、今日はある薬剤について話に来たんです」
サフランさんに促されて、ようやく話の本題に入った。