3話 兵は拙速を貴ぶ
加減乗除 40話目。
諺に意味は持たせない。
―除―
アロネの森。
光が差し込まないくらいの高さ、掻き分けなければならないくらいの高さまで木々と葉は伸びている――が。
実は四つんばいになれば、案外邪魔される事もなく突き抜けられるのだ。
なぜならこの森は――。
「着いたよ・・・・・・」
森を抜けきってから前をみてオレガノは言った。
そのオレガノの横に立って僕も前を見る。
「・・・・・・」
アロネの森。
別名、ドワーフの森。
ドワーフとは、大酒飲みで手先が器用。鉱夫あるいは細工師、鍛冶屋などの職人であると同時に、斧やハンマーなどを主軸の武器に使う戦士でもある。そして男限定ではあるが、豊かな髭を生やしている等、特徴は幾つもある民族だ。
そして中でも1番有名な点が『人間より小さい』ということだ。
矮躯でありながら、屈強な民族。
そのドワーフたちの通り道であるこのアロネの森は、当然ドワーフたちのサイズを基準に道が作られている。
その道を抜けて視界に広がるのは、そのドワーフたちの住処。
「ここが・・・・・・ゼミル鉱山・・・・・・」
視界には高々と1つの鉱山があった。そしてそこには当然のように幾つも洞窟がありトロッコや様々な道具が置いてあり、また当然のようにドワーフ達が居た。