4話 結果、この世界の整理は続く。
どうも、加減乗除です。
四話目。
そろそろ説明も終わらせたい。
加えて減らして乗りで除いていきます。
―除―
コンコン、と。
部屋の扉をノックする音が聴こえた。
「お客さんだよ」
アレンはそう言って扉を指を差す。
俺は黙って、扉のほうへと向かう。エナメルバックの中身が散乱され、放置された状態になっているがまあ気にしない方向で居よう。そもそも、片付けは苦手だ。
「はい」
扉を開けた。
喪服のような全身黒いドレス。長い髪の毛も黒で、数珠の玉を髑髏に替えたようなネックレスをした女が居た。
「・・・・・・アレン・・・・・・居る?」
蚊の鳴くような――とまではいかないが、小さな声で女は言う。
「ああ、アレンなら中に――」
部屋の中を指差しながら振り向く。
「アレ?」
・・・・・・居ない。
「おっかしいな・・・・・・」
「居ないの・・・・・・?」
「あ、あぁ・・・・・・」
「そう」
女はあっさりとそう言うと
「呪う・・・・・・」
と一言だけ続けて去って行った。
「な・・・・・・何だったんだ?」
ていうか、呪うって『俺を』じゃないだろうな!?
いやそれよりも先にアレンはどこに・・・・・・?
シャイなのだろうか?
「あ・・・・・・」
そうだよ。30秒前に感嘆してたじゃないか。アイツ隠密師じゃん・・・・・・。
本当に物忘れが激しい。だからペーパーテストで点を落とすんだ。また、メリアにバカにされるな・・・・・・。憂鬱だ。メランコリー状態だ。
閑話休題。
アレンは先ほどの数秒の間にココを去っていったのだろう。そもそもアイツが寮の部屋に居る事自体が珍しいのだ。俺の中では彼にあったら1日、運がついているということにしている。いや、嘘だけど。
「それにしても・・・・・・」
疲れた。
先ほどの漆黒の女はオレガノ。呪うという言葉やあの髑髏のネックレスからも想像できる通り、呪い師だ。
呪い師に関する情報としては、状態異常系の魔法、或いは状態異常を回復させる魔法もコレに値する。救護師は基本的に普通の回復しか出来ないが、呪い師は基本的に状態異常を回復させる事しかできない。『基本的に』というのは、例外もあるということだ。
さて、前述した内容をわざわざ何故口にしたのかということだが。
アイツは分からない。それこそ、隠密師並みに。
呪い師自体はそこまで情報が少ないわけではないが、アイツは隠密師と同じくらい謎に包まれている。
「アレンを捜していたという事は・・・・・・必要道具の調達任務の協力ってところか?」
それも所謂1つの『依頼』だ。生徒間での依頼もあるということだ。
ちなみにアレンをこの校内から探し出せるのもオレガノくらいのものだ。どんな魔術を使っているのか・・・・・・。
恐怖ですね。
さてと。
「逃げ出したものの、そういうわけにはいかないよな・・・・・・」
誰に言うでもなく――強いて言えば俺に向かってそう言って、机に向かう。
当然、テスト勉強というわけだ。
「普段使ってない分の脳をフル活用といこうか!」
自らそう言って気合を入れて、俺は。
俺は。
俺はまず、エナメルバックから散乱された教科書とノートの整理を始めた。
はぁ・・・・・・。