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Not Only But Also  作者: 加減乗除
閑話休題
37/106

爆弾発言

加減乗除、37羽目。


鳥だけに。


―加―

 しかし、鳥は困ったな……。

 飛行魔法は取得していない。

 つまり、攻撃が届かない。


 オギは普段から持っている短剣を手にしながら、目の前で俺達二人にプレッシャーを掛け続けている鳥を見る。


「しかしまぁ、逃げるか?」

「……止めておいたほうが良い……」

 オレガノは鳥に指を指す。


 その鳥は、口から光を発し今にも何かを発射しそうな様子だった。


 というか発射した。

 火の息吹は屋上を赤く燃やす。


「そういうことはもっと早く言ってくれ!!」

 ぎりぎりのところで後ろに下がり難無きを得る二人。


「ったく、誰でも良いからこの状況を打破できる力を持った奴はいないのか!?」

 火の息吹を避けながら叫ぶ。


「……あまり、傷つけないようにしてね。この鳥の親だろうから」

「丸焦げコース一直線だけどな。というか傷つけさせられないんだよ。……これだけ騒げばあいつ等も気がついてるだろ」

「……多分」


 俺達二人にはある確信があった。


「しゃがんで!!」

 いきなり女子の声が聞こえると同時に、頭の上をサッカーボール強くらいの火の玉が飛んで行く。


 鳥はそれを風圧で打ち消す。


「メリア、やっと来たか」

「大変だったんだから……」

 だいぶ走ったのだろうか、息が乱れているメリア。


 屋上の騒ぎに気がついて、急いで走ってきたのだ。


「ってことは、もう来てるんだろ!! アレン!!」


「バレていたか」

 いきなり屋上にアレンが参上した。


「……アレン」

「君がいなくてこっちはまったく大変だったんだから。というか君は気づいていたんだろう?」

「でも、これは私の責任。頼るわけには――――、きゃん」

 オレガノが何か言おうとしていたところに、アレンがデコピンをする。


「少しくらい頼ってくれよ。俺はお前のことを頼りにしてるんだから」

「……アレン。ゴメン」

「韻が踏めていて面白いな。じゃあ、やるか。メリア、相手の動きを絞ってくれ」

「分かったわ!!」

 

 メリアはうなずき、呪文詠唱を始める。


「呪文詠唱。火よ、重なり合い炎となれ。……四連!!」

 メリアが大きく円を書くように手を振ると、正方形の頂点のところに魔法陣が現れる。


「真ん中よ!!」

 その四つの魔法陣から火の玉が出現し、それぞれ四方に飛んで行く。


 一つも鳥に当たるようなものではないが、無意識に動きが止まる。


「ありがとう」

 それを見計らってアレンが飛ぶ。


「縛鎖:拘束」

 いつの間にやら取り出していた長い鎖を鳥に絡みつくようにして縛る。

 これで鳥は動きが取れない。


「アレン……」

「分かってる。傷つけないようにだろ?」

 子供のように微笑むアレン。


「やっぱり……すごい。アレンは。……呪文詠唱、此のものに掛けられた魔の呪いを呪い師、オレガノ・ルードの名に置いて呪い返す」

 そう言い終わった瞬間、鳥の中からなにやらよく分からない呪印のようなものが出てきて、彼方へ飛んで行った。


「Kii!!」

「Kii!!」

 そうして親子の鳥は二人仲良く並んで飛んだ。










「……これで一段落ね。じゃあ……」

「ちょっと待って。このままハッピーエンドで終わらせないよ」

 どこかへ行こうとしたオレガノをアレンが止める。


「……何を」

「君が今から帰る場所は病室だ。分かるね」

「……私はこの通り元気じゃない」

 アレンの手を離そうとするオレガノだが、想像以上にアレンの手は強いらしい。


「オレガノ。しかるべき検査を受けてちゃんと療養していないと。任務の後にゴーレムに殴られて、いくら君といえどそのままでいるのはいけない」

「大丈夫だもの。ほら、ぴんぴんしてる」

 ブンブンと腕を振るオレガノ。


「ダメ。きちんと病室に連れて行きます」

「や、嫌なの……。注射、やーーーー!!」


 オレガノはアレンに引きずられて屋上を後にした。


「もしかして、注射が嫌で逃げてたんじゃないわよね?」

「俺に聞くな」

 屋上に残されたオギとメリアはがっくりとしていた。

最後はちょっとギャグ展開。


長生きのこつ←気にしないこと。

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