理解不能
加減乗除 36話。
初の毎日更新失敗。
土下座inディスプレイの前 ―除―
腕を振り切って図書館を飛び出た。
「1分前だろ?だったらこの辺に居るんじゃ――」
「あの娘はそんな簡単に見つけられない。逃げている理由は分からないけど、私達が捜している事にはもう気付かれているはず」
メリアはそう言って走り始める。
「私はこっちから捜す!オギは別方向からお願い」
「わ、分かった」
何だ、アイツ。どうして、こんなしょうもないことにあんな熱血にやってんだよ・・・・・・。
思ったが言わずに、俺はメリアとは違う方向に向かって走る。
「って言っても・・・・・・」
俺は決して方向音痴ではないが、俺にとってはこの学校は迷路みたいなものだ。どこからどう捜していいものか分からない。
・・・・・・考えろ。
分からない以上、できることでやるしか方法は無いんだから。
「・・・・・・なんでオレガノは病棟から逃げ出したんだ?」
独り言。
思考をはじめる。分かるかどうかはこの際関係ない。
何か、重要な事があった。自分よりも大事な何か。
それは恐らく生命に関すること。だって、俺と一緒に入れる奴は根は優しい奴だから。
・・・・・・ゼロは置いておいて。
ということは、だ。
俺は上を見上げた。
屋上。開放されてはいないが、別に禁止されていない。
夕方になり、太陽が沈み始めている。そして風が激しく吹いている。
「・・・・・・ここじゃ告白とかは出来ないな・・・・・・っと、関係ないか」
俺は屋上の扉を閉めて、周りを見る。
「あ、居た」
俺は隅っこでうずくまっているオレガノを見た。
「・・・・・・オギ」
「何やってんだ?こんなところで」
俺はそう言ってオレガノに近づく。
オレガノは俺の方に振り向いて手のひらを突き出した。
「・・・・・・?」
その中には小さな鳥が居た。羽を怪我して飛べなくなっているようだ。
やっぱりか・・・・・・。
「コイツが心配だったんだな?」
「・・・・・・」
「だからって何も言わず出て行くことは無いだろ」
「・・・・・・皆に迷惑掛けるから」
「既に迷惑掛かってるっての!」
オギはそう言ってオレガノの頭を軽くチョップする。
「俺はともかく、アレンにぐらい相談しろよ。こういうときに頼れる奴だぜ?アイツは」
「・・・・・・」
「友達なんだからもっと頼っていけって、な?」
俺はオレガノのかおを覗き込むようにして言う。
「・・・・・・分かった」
「よし、じゃあ取り敢えずソイツ持っていくか」
そう言って俺達は屋上を後にしようとして――。
頭上に黒い影が現れた。
「・・・・・・は?」
空には一羽の鳥。
だが大きさは屋上を包み込むほどだ。
「親鳥・・・・・・」
「・・・・・・気のせいか?アイツ、好戦的に見える」
「アレは、そういう鳥だから・・・・・・」
「ココには入って来れないんじゃなかったのか?」
「多分、前回の事件の残党・・・・・・」
言った後、すぐだった。
鳥が1度羽ばたいた。
風圧が体を押し飛ばそうとしてくる。
・・・・・・やっぱり俺って呪われてるのかな。
と、言えずじまいだった。