津々浦々
加減乗除、33話。
随分とキリが良いですねっ!
―加―
「とりあえず、どこから回る?」
「オレガノちゃんがいそうなところでしょ? そうね……」
メリアは頭を抱え込んで学年次席の頭をフル回転させる。
「今まで発見されてないってことは、いかにも隠れそうなところは探してあるわけよね?」
メリアが早速何か閃いたようだ。
そうだな、と返す。
「ということは、いかにも隠れるには向かないような場所にいるんじゃない?」
「それが思いつければ苦労はしないだろうけど……、いや、有り得るな」
確かアレンが前にこんなことを言っていた。
「僕達隠密師はよく隠れているわけだけれど、その基本的原理は何だと思う?」
「……、そうだな、人が思いもつかないところとかじゃないのか? 盲点みたいな」
「それもある。だけど、原理で言うならもっと簡単なところにあるのさ。後ろに立つ。ただそれだけさ」
「いや、それ普通すぐばれるだろ?」
「でも、理論的にはこれが一番なのさ」
――――――、後ろに立つ。
オレガノが隠れるとすれば、人が密集しているところの後ろ、ってとこか?
「じゃあ、人が集まりそうなところにでも行くか? とりあえず、食堂にでも」
「まぁ、いいんじゃない?」
メリアも承諾したことで、食堂に向かうことに。
この学院の中でも屈指の広さを誇るのがこの食堂である。
何せこの学院にいる全ての生徒が昼休みには食べに来るのだ(今は前回のごたごたで色々なところを修理中なため自由だが)。
ちなみにこの学院は七年制である。俺達は一年だ。
食堂の奥には掲示板が設置されており、ここから依頼を受けている。
食堂に着くと、生徒がまばらにいた。
修理の合間に少しつまみに来たのだろうか。
奥の掲示板には修理の依頼が続々と来ている。
そりゃ、運動場をあれだけ穴ぼこにされて、校舎まで吹き飛べばそうなるだろう。
「ここにはいない気がするけど?」
「そうだな……」
きょろきょろと周りを見てみるが、これといって不審な点はない。
というかよく考えたら、隠密部隊が探してるんなら俺達が探す必要もないんじゃ?
「さーて、次ぎ行くわよ次!」
メリアは相変わらず元気だ。
「次は図書館にでも行かない?」
「図書館か、それは確かにいそうな気がしないでもないな」
そう思って図書館に向かうことになった。
私、加を四文字熟語で表現するとっ!!
なんだろう?
愉快痛快? 踊躍歓喜?
ことわざでいいなら“手の舞い足の踏むところを知らず”でしょうかね。