25話 地下で蠢く、この世界。
加減乗除の25話目。
加。
つか
「相変わらず、すごいな」
アレンの手際のよさはいつも一級品だ。
「流石のゴーレムも、もう動けないでしょうね」
メリアも感心している。
「今までどこ行ってたんだよ」
「ちょっと任務にね」
「……依頼よ」
「アレン、お前が言うと任務ってのもシャレにならないぜ」
「あぁ、そうだね。ところで、何でこんなことになっているんだ?」
「……謎」
アレンやオレガノも不思議に思ったらしいが、それが分からない。
メリアの説明からして、地下に何かあるとしか思えないが……。
「随分と長い通路だな」
ゼロは穴の中にある通路を歩いて進んでいた。
「これで何も無かったらどうしたもんか」
そうしてゼロはふらふらと歩いていると、通路の出口に強めの光が見えた。
そのまま走っていくと、大きめのホールに出た。
「何だここは……」
そう呟いた直後、ゼロの上に大きな影が出来た。
「!?」
上を見ると、何かの巨体がゼロを踏み潰さんと落ちてきていた。
ゼロはそれを大きな横っ飛びでかわす。
ズズン、と大きな音を立ててその巨体は着地した。
「一体何がどうなってやがる……」
その巨体を見て、数日前のあの一件を思い出す。
「こんなところにサラマンダーがいるなんてよぉ!!」
その巨体は数日前倒したばかりのサラマンダーだった。
とはいえ、おそらくあれとは違う個体だろう。目の前のサラマンダーは以前のものよりも一回りほど小さい。
ゼロがサラマンダーを見ていると、あるものを発見した。
「おい、お前!!」
よく見るとサラマンダーの上に人が乗っている。
常識的に考えれば、まずありえない光景だった。
「僕のことかい?」
ゼロに聞き返すように、サラマンダーの上の男は答える。
「お前以外にここにはサラマンダーしかいないだろうが。いや、そんなことより、どうしてそんなところにいる!!」
サラマンダーは何にも気づいてないという風な顔を崩さない。
あの上の男は気づかれていないのか?
「あー、うん? 何を言ってるんだ君は。そんなところって」
「どうしてサラマンダーの上に平気でいるんだよ!!」
どうも話がかみ合わない男だ。
「そりゃ、僕が使役して行使して活用しているんだから。当たり前じゃないか」
……?
「まったく、僕のボーゾ達も上から戻ってこないところを見ると、やられちゃったかな? ゴーレムの魔力も途絶えたっぽいし、どうしたものかな」
コイツの、差し金……?
上の騒ぎは、コイツのせいか……?
「君、一人かい?」
「お前は、一体……」
「僕? 僕は調教師、カンパネルラ。多分君一人程度なら適当に葬れるよね」
そこまで言って男――――カンパネルラはこっちに向けて指を指す。
すると、今まで平穏だったサラマンダーが急に敵意を丸出しにしてこちらを睨んできた。
れました。