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Not Only But Also  作者: 加減乗除
第1章 侵入者戦争編
20/106

20話 想像が支配する、この世界。

 加減乗除 20話


 戦争 はじまりはじまり。

 ―除―

「どうなって――」

「狼狽えないで」

 いつの間にかやってきたメリアが言った。

「人が1人死んだんだぞ!?」

「誰が死んだの?」

「下級呪術科の少女だ!」

「私のフルネームも言えない。いくら勉強しても点の取れない。そんな記憶力の乏しい奴が、遠めで見たような少女の存在を理解できるの?」

 ・・・・・・。

 そういわれて見れば・・・・・・。

「ボーゾの基本特質は?」

「・・・・・・特質?」

「・・・・・・」

 メリアはジト目で俺を見ると、溜め息をついた。


 前言撤回。

 外見が印象的だったからといって、何もかもを覚えているわけではないのだ。

「早く行くわよ!」

「え、な、どういうことだ!?」

 メリアはその窓から校庭に飛び降りる。俺もそれを追って飛び降りた。


「呪文詠唱。水よ、滝渦の姿をとり障壁となれ!」

 メリアは叫んで、地面との接触直前にクッションを作る。それから、上手く地面に着地した。

 俺はというと、物理的に接触を避けるため、自分の長剣を壁に刺して上手く滑らしながら降り立った。

 ああ、折れなくて良かった。


「・・・・・・あれ・・・・・・?」

 そこに居たはずの人間の姿がほとんど消え去っている。

「死んだ・・・・・・のか?」

「そんなわけないじゃない。大体、さっき地鳴りがしたばかりで貴方が思ったほどの人数が集まるわけ無いでしょ」

「・・・・・・つまり・・・・・・?」

「んなことも知らないのかよ、カスが!」

 聞き覚えのある声。

 俺を罵倒する、もうクセに近い叫び。

 ソイツはいつもどおり銃を構えていた。

「ゼロ・・・・・・!」

「勉強しなおす気は無いらしいな・・・・・・。まぁ、お前のことだから勉強したってすぐ忘れるんだろう」

「何だと、コラ!」

「やめて、オギ!」

 そう言って、出しかけた腕をメリアは止めた。

 行動パターンを把握されている。

「今はそんな場合じゃない。それに、否定できないしね」

「メリア!?」

「ソイツもそう言ってるんだ。諦めろ」

「・・・・・・くッ!」

 俺は諦めて腕を下ろした。

 それを見てゼロは口を開く。

「アイツの特質は幻覚性毒霧だ。しかも目ではわからないほど細かくなっている。それを吸ったものは幻覚を見る」

「幻覚・・・・・・」

「だから貴方は、遠くからでも呪術師の少女が死んだって分かったの」

「そんな幻覚見てたのか?ハハ!」

 ゼロは俺を見て笑う。

「何がおかしい!」

「いいか?この毒霧は、対象者の1番見たくないものを見る。つまり、お前は無意識に人の残酷な死を恐がっている。しかも女子だな」

「・・・・・・!?」

 ・・・・・・。

 俺は横目でメリアを見た。

 そうだ。

 俺が恐がっているのは――。

「そんなんで戦えるのか?」

 ゼロは見下すようにして――当然、物理的には見下されているのだが、そういう意味ではなく――俺を嘲笑した。

「・・・・・・そんなことにならないために戦うんだよ!」

 俺はボーゾの方を見る。

 この校庭には、ほとんど人数が居ない。居るのもほとんどが下級だ。つまり、現状は最悪。

「・・・・・・あれ?」

 メリアは突然、声を上げた。

「どうした?何かあったか?」

「どうして「来たぞ!ボっとするな!」

 ゼロとメリアの声がかぶって聞き取れなかったが、一体のボーゾは突っ込んできたのは確認できた。


 俺は飛び上がり、突進を避ける。ゼロとメリアは最小限の動きで避ける。


「魔弾:貫通弾グリフォス」

「呪文詠唱。火よ、重なり合い炎となれ」

「居合い」


 そう言ってそれぞれ武器を構えた。


「「「くたばれ!!」」」


 それぞれの攻撃が各所に当り、ボーズは叫び声を上げた。


「まずまずだ。流石は、次席か」

「ありがとうございます」

 俺を無視して会話を続けている。

「お前らな――」

「Gyaaaaaaa!!」

「Gaaaaaaaa!!」

 残りの2体の叫び声が上がった。


 ・・・・・・くっそ。余裕が無さそうだ。

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