17話 いがみ合ったこの世界、廻り廻って認め合う。
加減乗除のカ口。
17話目、そろそろまとまります。
―加―
「2秒、つったってなぁ!!」
「そんなことも出来ないのか?」
「……、やってやんよ!!」
とにかく俺はゼロからはなれてサラマンダーをひきつけることに。
サラマンダーを見てみると、口が赤く光り始めている。
「火ぃ噴くから気をつけろよ!!」
「見りゃ分かる!!」
そう答えた瞬間、サラマンダーが火を噴いた。
それはまるで爆発のような勢いでオギに迫る。
「って、熱っつ!!」
それを間一髪で避ける。
「お前は2秒もアイツの動きを止められないのか!?」
「うっせー、黙ってろ!!」
ゼロはああ言うけど、実際かなりきつい。
近づけば太く鋭い爪で上半身と下半身が泣き別れになってしまうだろうし、離れたら離れたであの息吹が待っている。
「畜生!!」
進むも戻るも地獄なら、進んでやるさ!!
オギはそう決意すると、一気にサラマンダーに向かって走り出した。
サラマンダーは迫るオギ目掛けて火球を連発するが、それを見事にオギは避ける。
そのままサラマンダーの足元まで迫ったその時、丸太のような太い腕がこちらに向けて振り下ろされた。
「まずっ!!」
それを横に飛んで避けると、今度は横に薙いできた。
「げっ!!」
さっき避けたばかりで態勢すら整っておらず、そのまま腕と爪が迫ってきたその時。
バァンという炸裂音がして、迫ってきていた腕が弾き飛んだ。
「お前を守れねぇっつったろこのドアホが!!」
その声はオギからして左側のほうから聞こえてきた。
「んなっ……、手前のために――――――」
「だが、時間をここまで稼げたことは褒めてやる」
よく見ると、ゼロの周りには大きな銃がいくつか置かれてある。
「Giaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」
先ほど腕を撃ち抜かれたサラマンダーがゼロのほうを向く。
「消し飛べ、このトカゲ野郎」
まず足元に置いてある一丁を取り上げると一瞬で構え、そして発射した。
すると、ゼロのほうを向いていたサラマンダーの目から血が噴き出した。
「Gyiiiiiiiii!!」
サラマンダーが首を左右に振って暴れだす。
「今のはただの弾。口径が大きいだけのな。だが、次からの弾は違うぜ」
もがき苦しんでいるサラマンダーに、またゼロは別の銃を構える。
「再装填ってのは意外に時間を食うんでな。こうやって置いといたほうがいいんだよ」
そして、景気よく銃をぶっ放す。
バガンと、先程よりも大きな音で撃ち出されると共に、ゼロの身体もズンと後ろに動く。
その音の直後、何の前触れも無くサラマンダーが。
サラマンダーの巨体が。
くの字に折れ曲がった。
「なぁ!?」
一体どんな威力の弾を撃てばあんな風になるのだろうか。
先ほど後ろに吹っ飛んだゼロはバク転の要領で見事に着地すると、足元に置いていた最後の、一番長いものを持ってサラマンダーに向かって走り出した。
くの字に折れ曲がった後サラマンダーは多少ビクッ、ビクッと動くが目新しい行動は取っていない。
そのサラマンダーの口の中でゼロは銃を構えた。
「大抵の魔物ってのは外は堅くても中は柔らかいってのが多いんだ。常識だ、覚えとけ」
そのままバギュンと今日最大の音を立ててゼロが銃を撃ち出した。
その銃弾はサラマンダーを一直線に貫いた。
サラマンダーは一度ひときわ大きくビクビクッとしたが、その後は沈黙した。
銃弾の反動でゼロは先程よりもより衝撃が来た様だったが、吹き飛ばされるようなことは無いようだった。
「い、今のは……」
「魔弾だ。お前、そんなことも知らないのか? まぁ、普通の大型ライフルで撃つ奴は俺くらいだがな」
魔弾。
銃弾に魔力を込めて色々な力を付与したものだったか。
確かメリアが普通魔弾を撃つときは魔力付加した銃じゃないと使用者の身体が吹っ飛ぶとか言っていた気がするんだが……。
「とにかく、この大きさのサラマンダーは結構貴重だから、こいつ持って帰るぞ」
ゼロのこの発言により、俺はこの糞でかいサラマンダーをゼロと一緒に荷台にくくりつけたりしなければならなくなった。
「まったく、あん時はお前がちんたらやってるせいで遅れちまっただろうが」
「あぁ!? 俺は手前の時間稼ぎのために走り回ってやったんだぞ!!」
「ガキはぎゃあぎゃあ言うから嫌いなんだよ」
「お前みたいな狐に言われたか無いね」
「んだと手前!!」
「やんのかコラ!!」
「お静かになさい!!」
俺とゼロがまた喧嘩になりそうだったところを、ある女性が止める。
それは対魔物及び何とか委員会の副会長、カミルレの叫び声だった。
任務が終了したので、対魔物何とか委員会(もう忘れかけてる)の部屋で報告をしにきたのだが、またゼロとかぶってしまった。
「全くあなた達は任務を成功させてきたのに、やれ俺のほうが狩った数が多いだの、やれ俺がサラマンダーを片付けたなどと言って……。いい加減にしなさい!!」
どうやらカミルレはかなり怒っているようだった。
「大体、あなた方にはチームワークというものが欠けているのでありましてね……――――――――」
最初にあったときよりも長い説教を受けた後、ようやく依頼の話に入れた。
「とにかく依頼の件についてはありがとうございました。サラマンダーの討伐までやってのけるとは、流石ゼロさんですね」
カミルレはどうやらサラマンダーをゼロだけで倒したと思っているらしい。
確かにサラマンダーをひきつけて逃げ回っていただけだが、その言い方は癪に障った。
「そう褒めるな、カミルレ。当然のことをしただけだ」
ゼロは最初と同様ソファにふんぞり返って副会長を呼び捨てにして答える。
そしてこっちを物凄い笑顔で見てきた。
すごく殴りたい。
そう思っていると、少し真面目な顔になってゼロが急に副会長のほうを向いた。
「何でしょうか?」
思わず副会長も聞き返す。
「一応、これは、横のガキのために言う訳じゃないが、コイツも多少は良くやった」
え?
俺と副会長は驚いた顔をしてゼロを見る。
「あぁ、報酬は魔弾を六発と学食の食券で頼む。俺の部屋に送っておいてくれ。俺は退屈な話は嫌いなんでな。さっさと部屋に帰らせてもらう」
そこまで言い切ると驚いた二人を取り残してゼロはここから出て行ってしまった。
「どういうことでしょうか」
「あの野郎……、相変わらず上からの口調は変わんねぇってことかよ」
「……とにかく、オギさんの報酬につきましては新しい剣と今度の追試の免除、ということでよろしいですね?」
「まぁ、問題ないな」
「では、部屋に送っておきますので」
副会長はそういうとドアをわざわざ開けてくれた。
しかしあの野郎、強さだけは一流だな。
そこだけは、認めても良いかもしれない。
相変わらずむかつく奴だがな。
まとまりましたー。
―加―