12話 怒り戸惑う、この世界。
加減乗除。
12話。
―除―
「・・・・・・ということです。これらを知っていただいた上で、すなわち私達がやっていることを理解していただいた上で、私達と接していただき、あなた方共々、我々対策委員会と親交を深めていって欲しいのです。お分かり頂けたでしょうか?」
ようやくそう言って話が終わった。
あー・・・・・・だるい。
「終わったか?じゃあ、さっさと話を始めさせてくれ」
ゼロは目を覚ますとそう言って部屋の扉を開けた。
「・・・・・・まぁいいでしょう」
そう言ってカミルレ副会長(以下、副会長)は俺も中に入れてくれた。
中には委員会のメンバーたちが数人、忙しく働いていたが、副会長の入室を見て1度動きを止め、俺とゼロに一礼して、仕事を再開した。
俺達は奥のほうの応接室に案内された。
2人とも座ったのを確認してから副会長も座り、言った。
「・・・・・まず、依頼内容の確認なんですけれど」
副会長はこちらを見た。
「単独・・・・・・と記載したはずなのですが?」
「「単独だ」」
またかぶった・・・・・・。
「・・・・・・つまり、あなた方は別方向から偶然同じタイミングで同じ依頼を受けにやってきたということですね?」
「そうなります」
ゼロはそう言ってソファにふんぞり返った。何を偉そうに仕切っている・・・・・・。
「・・・・・・どちらか片方にしていただけないでしょうか?」
「・・・・・・おい、ガキ」
「嫌に決まってんだろうが」
何を言い出すか予測はついていたので、先手を打った。
「お前が帰れ。くそ狐」
「つまり、お前を殺して俺が受ければいいんだな?クソガキがぁ!!」
ゼロは叫んで立ち上がった。
俺もソレに次いで立ち上がる。
「先に来たのは俺なんだよ・・・・・・割り込みは禁止だろうが!」
「お前はドアの前に立っていて、ドアノブをあけようとしただけだ、まだ依頼を受注しようとしては居なかっただろ!!」
「ヘリクツ言ってねぇで、先輩に譲れバカが!」
「お前を先輩だと思うくらいなら、ゴキブリに敬意を称するぜ!」
「あのー」
「「何だ、コラァ!!」」
思わず切れてしまった。
当然、その声の主は、副会長なわけなのだが。
「・・・・・・」
「面倒なので、あなた方2人で行ってください」
副会長らしからぬ言い分で、俺達を見放す。
「そちらの後輩さんは知りませんが、貴方・・・・・・つまりゼロさんのことなら存じ上げております」
「・・・・・・」
笑いやがった。俺を見下すように。
くっそ・・・・・・!!
「貴方ならサラマンデルくらい余裕で一掃出来るでしょう。足手まといが居ても何ら問題ないでしょうし」
足手まといのところで、俺を見る。
・・・・・・我慢だ。この委員会を相手に暴動を起こすのは問題だし、第一俺も無事では済まない。
対魔物及び竜族対策委員会の副会長である以上、この女も強いはずだ。
「それにあなた方のような方たちなら、もっと大きな解決になるはずです」
「大きな解決・・・・・・?」
何を言っているんだ?
「ちょっと待て、確かに俺は強いが・・・・・・」
そこを前提にするな、クソ狐。
「コイツと一緒というのは認められん」
俺のセリフだ、アホ。
しかし、そんな彼を止めたのは、単純な挑発だった。
「出来ないんですか?」
「・・・・・・上等だ、やってやるぜ!」
ゼロは切れたようにそういうと、俺の首を引っ張った。
そしてそのまま部屋を出て行く。
「引きずるな、くそ・・・・・・」
首が絞まっていまいち声も出せず、気迫も出ない。
つーか、コイツ力が強い・・・・・・。
「行くぞ、後輩。やる以上は、お前も守りつつ一掃してやるよ。不本意だがな!!」
「お互いさまだ・・・・・・!俺もお前に負けるような奴じゃないんでな・・・・・・」
「ほぉ・・・・・・なら!」
そして、今度は狙って言った。
「「勝負だ!!」」