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Not Only But Also  作者: 加減乗除
第3章
100/106

11話 予想外 5

 100話目だけど……記念しとく?

 話をまとめるとこういうことらしい。


 昔々、ある一匹の恐ろしい銀の竜がいて、その竜は力に飢えていた。

 その竜は自惚れていたようで、自らよりも強いものがいるはずがないと思っていた。

 しかし同時に、自らを倒せるほどの強さを持つ者を探していた。

 そんな竜の前には幾人もの強き男たちが立ち並んだ。しかしそのいずれもが、何人でどんな武器でどんな風に戦おうとも、銀の竜の使う白き光の魔法には立ち向かえなかった。


 そんな竜の前に、一人の放浪人の様な男が現れた。

 その男は、今までの男たちとは違い、竜の力を推し量るがために来たのではなく、人々に被害を与えている竜を倒すためにやってきたのだ。

 そしてその男――アルモンドの勇者は、光の魔法にも打ち勝ち見事に竜を倒して見せたのだ。


 めでたしめでたし。


 と、ここまでなら少し難しい読み聞かせ用の絵本としては好都合だろう。

 しかし、この本には後日談がある。


 その竜が強き勇者を探していたのは、友を探すためだったと。

 竜の白き光の魔法は、その強大さゆえに弱きものは傍にいるだけで滅んでしまう。

 しかし強きものならばそのそばにいることもできると、竜は考えたのだ。

 だから強き勇者を探していた。しかし、その結果打ち滅ぼされてしまったのだった。


 と。

 子供に読み聞かせる話ではないなと思った。



 図書館棟を跡にした俺たちは廊下を歩いていた。

「もしあの話が本当だとすれば」

「おいおい、オギ。まさかおとぎ話や伝説を君は信じるっていうのか?」

「たらればの話だよ。もしあの話があの少女に当てはまるとすれば」

 俺はもう一度言葉を紡ぐ。

「あの少女は銀の竜なのか?」

「まさか、そんなはずないでしょう?あれはどう見ても人。羽も生えていない。まあ、光の魔法を使えるという、異端児である可能性はあるけど」

 とメリアも否定する。

「まあ、深く考えないことさ」

 とアレンも笑う。

 俺はもやもやした感情を心に抱えつつ、そのままオレガノのいる部屋に向かった。



「……帰ってきたの」

「ああ。まあ無収穫だけど」

 とアレンは苦笑する。

 中をのぞくと、目の覚めた少女が体育座りの姿勢でベッドの上に座っていた。

「……対呪文結界を張ってある。あの光が何かはわからないけど、多分大丈夫……」

 とオレガノは少し心配そうに言った。

「……」

 俺は黙って、少女の横に行く(メリアの眼なんてこの際気にしない)。

「なあ、何で黙ってんだ?」

「……」

「さっきの魔法って何なんだ?」

「……」

「お前、竜なのか?」

「……」

 少女は何の反応も示さない。

「ほら、やっぱりな。そんなわけないって言っただろ?」

 アレンはそう言って水を差してくる。

 俺は最後の質問ぐらいの気持ちで投げかけた。


「俺が友達になってやろうか?」

「……!」


 キイイイイイイイイイイイイイン!と。


 俺の目の前を光がつつんだ。


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