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シャーロキアンのホームズⅡ〜名探偵になりたい男の物語〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


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9/15

第九幕:息子を奪われた牧師

やあ、君。僕はホームズだ。そして、ホームズを愛するシャーロキアンの一人だ。

なのにーーシャーロック・ホームズと名乗っている。


第八幕では、コナン・ドイルが度重なる現実の侮辱により、とうとう倒れてしまった。


僕はコナン・ドイルを支えた。

そこは教会のそばにある牧師館だった。牧師が正面玄関で、ひざまづいてた。

コナン・ドイルの様子を見て、彼も顔色を変えた。

「おお、神よ!これは悪魔の戯れなのでしょうか?神の下僕である私に、何を求めていなさるので?」

可哀想だけど、コナン・ドイルのワガママボディを支えるのにも限界があった。

「神に祈る前に、人としての義務をやりたまえ!」と牧師に向かって叫んだ。

牧師も彼を支えた。

嫌そうにしていた。

「神の目をごまかすな。先生を寝かせろ。ーー医者はどうしよう。アンタが恥知らずというから」

「まさかーーそれだけで?」と牧師は目を見開いた。何もかもが悪い方向に進んでいるようだった。


「とりあえず横にさせよう。アンタの息子さんの部屋は?」と僕は牧師に聞いた。

「に、二階にーー」

「最悪だーーアンタは足を。僕が頭を支える......」


苦労をしながら僕らはコナン・ドイルを牧師の逮捕された息子の部屋に連れて行った。

そこは鉄製ベッドと小さな机が並ぶ簡素な空間だ。コナン・ドイルを鉄製のベッドの上に仰向けにした。 

彼は静かに寝息を立てていた。

喉は詰まらせてない。

呼吸も安定してた。

「医者を呼ぶべきだろう。こんな時にワトソンがいたら良かったのにーー」

思わず僕は呟いた。

緋色の研究の中のワトソンーー。

僕には現れるのだろうかーー。

牧師は不満そうに見つめてくる。

「あなた方はーー何しに来たんですかーー」と今にも言われそうだった。

「ここは神の家だ。......もてなし方があるだろ。まずは紅茶を用意してくれ。

英国紳士としての嗜みだーーもしくは酒でもいい。身体が冷えるんだ。その時に説明する。身体を温めたいーー頼むよ、牧師さま」


しばらくして、僕は酒を飲んで身体を温めた。久しぶりに飲んだ......悪魔の水は、なんと心地いいものかーー僕を再びお花畑へと引きずりこもうとするんだ。

気を紛らわすために、牧師に僕らの訪問理由を伝えた。

グレイト・ワーリーで、再び起こった今回の事件の調査をしたい事をーー。

「私たちの息子は戻ってくるんですかーー?」と彼は僕に聞いた。

「あくまでも、調査の為ですーー息子さんが、この家に戻れるかもーーわからないです」

「あんまりだーー何しに来たんだーーあなた方は、ごたごたを増やしてーーただでさえ、自分たちは耐えて、耐えているのにーー」

僕は何も言えなかった。

こんな時に観察や推理はーー役に立たない。

キレイゴトでごまかしたら、その方が残酷なんだ。

「できる限りのことはやります。

先生を寝かせておいてくださいーー」


すると玄関から、ノック音がした。

周りを警戒するように。

霧雨は少し強まっていた。

僕らは扉を開けた。

すると、素早く濃紺の雨合羽を着た男が入ってきた。

その男はキャンベル刑事だった。

「おい、ホームズ。吾輩と一緒に来い。ーーボスを説得したぞ。すぐに会いたいそうだーー酒を飲んだのか、におうな......。」

僕は牧師を見た。彼は仇を見るような目でキャンベル刑事を睨んでいた。

何か言おうとしたけど、キャンベル刑事は夢中になって僕の腕をつかみ、外へと連れ出した。


ーーまた身体を冷やす羽目になった。


(こうして、第九幕は雨合羽を着た男により幕を閉じる。)

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