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シャーロキアンのホームズⅡ〜名探偵になりたい男の物語〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


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5/12

第五幕:知性を磨く事件

やあ、君。僕はホームズだ。そして、ホームズを愛するシャーロキアンの一人だ。

なのにーーシャーロック・ホームズと名乗っている。


第四幕では、僕がホームズと名乗る前の話を奥さまに話して聞かせた。

僕はーーまるで天使の前で話をしているアダムのような気がした。


だがーー1906年。

奥さまーールイーズが死んだ。

サリー州ハインドヘッドの屋敷の中。

長い闘病の末に。


ーー僕は彼女の葬式には出なかった。

なぜかって?

彼女は僕の物語を抱えて、

天使になってーー地上から飛び立った。


ーーそう信じたかったかもしれない。


屋敷の裏口で、感傷に浸っていると、

帽子ホームズが僕の目の前に現れた。

日が昇っている時だ。

ーー彼はーー僕に群れに戻るように言ったんだ。

「おい、君。あの骸骨女は天に召されたんだ。キレイサッパリだ。どうやってコナンに、ホームズの作品を書かせればーーどうすりゃいいんだーー」とも言ってた。

だから、僕は彼に言ってやった。

「コナン・ドイルには、気をつけるんだな。彼はルイーザのために、僕らのイタズラを見逃してたんだ。

彼女がいなくなった今ーー僕らはーー、シャーロキアンは訴訟される......」とね。

すると彼は、普段のニヤニヤを止めた。

「そりゃあ、まずいぜ。おい、君、あの野郎の興味をなんとか、ボクらから逸らしてくれーー頼む」とまで言ってた。僕は黙ってニヤついてたよ......。


さてとーーここは1906年頃のイギリスだ。僕はサリー州ハインドヘッドの屋敷にいた。

この屋敷は赤レンガ造りの田舎家屋で、高地に建てられていた。

居間は訪れる客たちに評判がよく、

南向きの大きな窓が太陽の光を取り込み、壁は温かみのある木板で囲まれていた。

部屋の中央では、バイオリンを演奏している中年男性が立っていた。茶色い短髪には白髪混じり、灰色の髭が口元を隠していて、体はがっしりしていた。ブラウンの紳士服を着て、気持ち良さげにしていた。

彼がコナン・ドイルなんだ。


「どうだい、ホームズ。

私のバイオリンの腕は?

悲しみを表現している。

妻を失ったばかりの男による演奏だ」


僕は——とりあえず褒めたたえた。神を崇めるようにね。実際、彼はシャーロック・ホームズを作った神だ。

それにーー彼女の愛した夫を侮辱してはならないと思った。

だけどーー!

ーーガマンができるだろうか。

彼を張り倒して、僕が彼女を愛していたんだとーー言わない自信がない。


ーー彼には彼の都合があった。

1905年頃のことだ。彼は別の女と恋愛関係にあった。プラトニックだと主張してたがーー誰が信じるんだ。

ーー彼の妻のルイーザがいなくなった後、近い将来ーーコナン・ドイルは、相手の女と結婚するかもしれない。


僕はーーそれが気に入らなかった。


ソファの端に座ってた。

落ち着かなかったーー。まだ、あの部屋には彼女の面影が残っている気がした。


それなのに彼は、居間でバイオリンを演奏しだしてるんだ。


ーー僕の前で。


「コナン先生、さ、さすがです。ぼ、ボク、無教養ですから、ば、バイオリンなんて触ってもーーひ、弾けないです」と吃りながら僕は彼を褒めてた。


彼は演奏を止めて、微笑んだ。

「君!私から推理の技術だけじゃなく、演奏の腕前も学びたまえ、ははは!」


ーーそろそろかな。

気分が良さそうにしている彼に、話を切り出した。

「せ、先生。新聞を見たんですけど、グレイト・ワーリーってとこで、ふ、不可解な事件が、お、起こったようですーー」

僕は吃りながら、彼に事件があることを伝えた。

「なに?ーーこのマヌケ!そういう事は早く言えーー事件のにおいがする。準備はできてるか、ホームズ?」と彼は不機嫌そうに言った。

「す、すみません......、まだ、新聞読んだだけでーー」と僕は青くなった。

なぜかって?

彼に事件の情報を話しすぎたかもしれないと不安に思ったから。

もっとバカっぽく、無害にやらなきゃーー。

ーーだが、気にしすぎだった。

彼は、それを聞いて笑った。

心の底からーーそして彼は口を開いた。

「私は準備ができている!」


(こうして第五幕はバイオリンで幕を閉じる。)

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