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シャーロキアンのホームズⅡ〜名探偵になりたい男の物語〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


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第二幕:愛しの彼女の最後の家

やあ、君。僕はホームズだ。そして、ホームズを愛するシャーロキアンの一人だ。

なのにーーシャーロック・ホームズと名乗っている。


第一幕ーー僕はシャーロキアンの活動として、アーサー・コナン・ドイルの自宅の屋敷の郵便受けの前にいた。

グループの一員として、

バカらしいと思いながらも、

自分を含めた皆の手紙を投函した。

「ホームズを我々にーー。

他の作品なんて誰も読みはしない。

何が歴史だ、クソくらえーー」

ーーほんのちょっとばかし、非難が多かったかもしれない。

そのせいで、コナン・ドイルを怒らせてしまった。

彼に待ち伏せされ、メンバーはちりぢりに逃げた。圧倒的な推理力も、観察の力も役に立たない。

僕は、コナン・ドイルに押し倒されたーー。


「ーーこのまま警察に突き出してやる!」と彼は唸った。


またスコットランドヤードの世話になるのだけはイヤだったーー。

前に一度厳重注意だったが、

次はどうなるか分からなかった。

だけどーー彼は気が変わったようで、

僕は屋敷の中に連れ込まれた。

「今から屋敷の連中に、お前を紹介するつもりだ。なぜかって?

これからお前はここに住む。

付き人だからだ。断ってもかまわん。

また違うやつを捕獲すればいいだけだーー」

僕は周囲を観察した。

屋敷の廊下には赤い絨毯が敷き詰められていた。

ところどころが濡れていた。誰かがこぼしたのか?近づかないと分からない。

それからコナン・ドイルを眺めた。

彼はベージュのナイトシャツを着てた。この色はまるで彼の肌のようだ。

裸で歩いてるーーまるで王様のようにーー。


使用人たちの集まった部屋に通された。中央に四角いテーブルが置かれて、椅子が三個無造作にあった。


ーー僕は人前が嫌いだ。イヤだ。

人の目線は、まるで非難するように見えた。悪い事なんてしてないのにーー。

「お前たち。私の新しい付き人のホームズだ。私が執筆中には、好きにこき使ってかまわない。給料は、そうだなーー」執事頭の男に何か話しているようだった。

僕は口を貝のように閉ざしてた。

怖かったからだーー。

次にコナン・ドイルから案内された部屋へと向かった。


そこは、屋敷の奥の部屋だった。

誰もここにはーーあまり近寄らないのかーー、この辺りには踏み跡があまりない。荒らされてないんだ。

扉の奥から、咳き込む声がした。


コナン・ドイルはズカズカと入っていった。僕も彼について行った。

誰か風邪をひいているのかもしれない。ーーそう思ったんだ。


部屋の中では、窓が開けられて換気されていた。それでも、消毒液の臭いが鼻を刺激した。


「待たせたね、トゥイ。」とコナン・ドイルは、寝台にいる女性の頬にキスをした。

窓から差し込む白い朝光が、

その女性の蒼白い肌を照らしてたーー。


「あら、あなたーー。その方は誰?」

「私の新しい付き人だ。驚くなよ、ホームズというんだ。シャーロキアンのシャーロック・ホームズだ。

何かしてほしい事があれば、彼を使え。ここのヤツらより動いてくれるーーそうだな、ホームズ?」

コナン・ドイルは少しだけ視線を険しくして、僕を見た。

「は、はいーーぼ、ボクなんかにできることあれば、なんなりとーー」

わざと顔を下に向けた。

ベッドサイドの薬瓶が視界に入った。


僕は、ーー彼女を見るのをやめた。

なぜかって?

僕はーー医者ではないからだ。

それでも、彼女の容姿を表現しなければならないなら、僕はこう言おう。

ーー彼女はキレイだったと。

これ以上はーー深く聞かないでほしい......。


彼女の名はルイーザ・ドイルだ。

そして、この屋敷の本当の正体はーー彼女の最後の家だったーー。


(こうして、第二幕は最後の家で幕を閉じる。)

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