表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャーロキアンのホームズⅡ〜名探偵になりたい男の物語〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/13

第十一幕:調査開始

やあ、君。僕はホームズだ。そして、ホームズを愛するシャーロキアンの一人だ。

なのにーーシャーロック・ホームズと名乗っている。


第十幕では、「コナン・ドイルに警察から得た情報を共有しない。」と誓約書にサインした。この公的な約束を破れば、僕は警察に逮捕される。

ーーそれがどうした。

僕はやってやる。


警察署の一室を借りて、まだ公開されてない書類を読み進めた。

探偵として警察から許可された高揚感で、自分が特別のように感じた。

落ち着かないといけない。

事件は下記のように起こった。


1903年の夏。ワーリーの共有牧草地。

最初の犠牲がでた。道端の溝に数頭の馬が発見された。

ここに引きずり込まれ、腹部と脚を深く切断されていた。朝の牧草の露に赤い血が混じっていた。


犯行は夜中。午前二時頃。

実際の目撃者はいなかった。

地面にも特に足跡がなかった。

村の外部の可能性は低く、

誰にも見られず長期潜伏は不可能だった。村の人たちは外から来る者に対して、警戒してるからだ。


犯行予告もあった。

匿名の手紙が、

郵便局や新聞に届いた。

『グレート・ワーリー・ギャング』と名乗るグループが自分たちの犯行だといった。彼らはいずれーー人も襲うと予告している。


そして、秋。ヘンズフォード・ロード沿いの農場 。

3頭の馬が一夜で殺害。

村人たちが、朝の散歩で気づいた。

家畜の死体は柵内に放置され、

臓器が飛び出た状態だった。


1905から1906年。

近隣の共有地にて事件は再発。

牛や羊ーー主に馬。

死体は常に「人里離れた藪や小道」に隠されていた。

村人たちの見回りも無意味だった。


20頭以上の家畜が犠牲になった。

どれも引き裂かれ、残酷に殺された。


ここまでで目撃者は少ない。

複数不審者の移動があったとも聞いたが、詳しく聞こうとすると拒否されたと記載してあった。


再び匿名の手紙が、

郵便局や新聞に届いた。


グループのリーダーが、ジョージ・エダルジだという内容だ。

ーーしかし証拠はない、

情報源は、あくまでも匿名の手紙だけ。

それでも警察は、エダルジ家を家宅捜査した。そして証拠品はでた。

証拠となったのは、

ポニーの毛と血のついた服、

そして未使用のナイフだった。

逮捕したのは、キャンベル刑事だった。


僕の隣で、当のキャンベル刑事が刈り上げた頭をかきながら聞いてきた。

「ホームズ。お前の見解を聞かせてくれるか。現場は保存できない。野犬やら虫やらわくんだ。詳しく調査もできないーー教えてほしいな」

僕はうなづいて、彼に思ったことを伝えた。

「警察は村の住人に対して、詳しく捜査ができてない。これは彼らを恐れているからだ。強制捜査をしたのは、エダルジ家に対してだけ。複数人いたと証言があったのにも関わらず、一人しか捕まえきれてない。まだ怪しい事があるのに、ここにあるのはーー家畜の殺され方と発見の状況だけだ。

これらは、村に対しての積極のなさが見える。」

キャンベル刑事は、肩をすくめた。

「仕方ないんだ。もしも吾輩らが村人の誰かを捜査したら、彼らの怒りはこちらに向かう。今後、村で何かあったとしても、彼らは一切の協力もしてくれないだろう。ここでの警察の力なんて、こんなモノだ」

「エダルジ家を捜査したのは、そこしかなかったからーーなんだね。

あなた方は結果が欲しかったんだ。」

「そうだな。何も成果がないのだけは、回避したかった。エダルジ家の連中には悪いが、あのままジョージ・エダルジが村にいたら、次は彼が狙われたろう」

「ジョージ・エダルジは、

彼は弁護士なんだろうか?」

「いいや。彼はーー学びの途中だ。熱心な若者だよ。村の連中とは違ってね。ヤツらは肌の色で優劣を決めてる。ジョージ・エダルジが弁護士になったら発狂するんじゃないか。」

「白人至上主義?」

「その通りだ。吾輩らの中にもいるが、あそこまで露骨じゃない。

エダルジ家に対し連中はーー嫌がらせを繰り返す。くだらんハエどもだ。」

キャンベル刑事は困ったように微笑んだ。

「それでも、そんなハエに配慮しなきゃならん。因果な仕事だ。イヤになるが、吾輩らは守る事を誇りとしてる。

どんなに無能と言われようとも!」

僕は、しばらく彼の目を見た。

正義の使命感に燃えていた。

「犯行グループは、いつもつるんでいる。彼らは単独ではいない。

単独なら村の人たちは、報復を恐れない。いつもグループでつるんでいる連中と知っているから、目撃者の証言も少ない。この証言をする連中は、村の中で立場が弱い。相手にされないヒマ人の連中だ。誰かにかまってほしいから、目撃者として証言したんだ。」

キャンベル刑事は笑った。

「鋭いな。そこは吾輩らも調べた。

だがね。証拠が問題になる。連中を逮捕できたとしても、ずっとは押さえられない。」

「なるほど。あなた方は、彼らを調べるために警察でない手が欲しかった。

僕に調べてほしいんだ。そのグループをーー」

キャンベル刑事は静かにうなづいた。


(こうして、第十一幕は捜査により幕を閉じる。)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ