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気の向くままの異世界旅  作者: 方夜虹縷
第二章

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第45話 避けられない別れ2

———お前は?———


「父シドの初めの子です。お話から察するに、あなたは父と母とともに旅をしたレイ様でしょうか。」


———そうだ———


「お願いです。姿を見せていただけないでしょか。父や母は私たちに何度もあなたの話を聞かせてくださり、その時の2人はとても楽しそうでした。また、2人は次にいつあなたが来られるか、度々口にされ心待ちにされておりました。今、最期にてようやく叶ったのです。」


その人間はそう締め括った。初めの子……ああ、見に行ったことがあるな。あの時の男児か。よく育ったものだ。子宝に恵まれいるのは事実らしい。


さらに沈黙していると今度はアルミリネが言った。


「お願いします、レイさん。ようやく会えたんです。私はまだ生きていけますが、シドにとってはこれが最後のチャンスなんです。どうか姿を見せてください。」


アルミリネが言った後に、シドが感慨深く言った。


「ああ、僕はよき家族に恵まれた。どうだい、レイ?」


———………その結果、後悔することになってもか———


「もちろんだとも。言っただろう?私は、満足している。悔いなど、ない。」


———そうか———



少し間を置き、俺は告げた。


———…………なら、ひとつ問題だ———


「なにかな?答えたら、姿を見せて、くれるんだよね?」


———誓おう。無論、本人以外が教えるのは禁止とする———


「そんな、無粋な、真似をする者は、ここにはいないさ。」


———いいだろう。では、問う。


『俺がお前たちに協力するか否かを決める際、運試しをした。お前が選択したのはどちらか?』


その弱った頭、持ち前の勘などお前が備える全てを使い答えを———


「表、だ。」


俺が言い終わる前にシドはいつか見た自信げな表情の面影を見せ、答えを言った。


「舐めないで、欲しいね。君が、仲間になった日のことは、この瞬間も思い出せる。勘なんて、必要ないさ。」


……はぁ。これだからコイツは。どちらかとは言ったが、選択肢すらないこの問いで正確に答えるとは。


「……正解だ。」


淡々と言い切り、魔法を解いた。そして、月明かりが当たるところまで進み出る。


「やっぱり君は……」


今度はアルミリネを含めある1人以外、全員が表情を抜かした。あり得ない、といった顔。

だが、シドだけは物憂げな表情をつくった。


「……歳をとらないんだね。」


そう、シドやアルミリネ、その他がそれぞれの反応を見せたのは俺の外見のためだ。

俺の外見は、あの頃と何も変化していない。

俺は徐に腕を組み、言った。


「やっぱり……か。その様子だと、気づいていたようだな。」


「そう、だね。おかしい、とは思っていたよ。僕らにとって、あの頃は、成長期のはずだ。それで、5年以上経っている。多少の変化は、あるはずだ。君の場合は、一切変化して、いなかったからね。どのくらい、生きて、いるんだい?」


「さあな。ざっと一万年ぐらいじゃないか?

……それで?後悔してないのか?自分が協力を求めた相手が化け物で。」


「何度も、言わせないでおくれよ。後悔など、あるはずが、ない。」


またも沈黙の時間が続く。この場にいる全員が感じっていた。今、話出せるのは俺、シド、アルミリネしかいないと。

すると、シドが言った。


「なぁ、レイ。魔王とは、一体何だったんだい?」


「……あれは、哀れな造物だ。」


唐突に聞いてきたシドに答える。当時から、たまに考察してきたことを素直に伝える。


「俺の考えでは、アレに意思はない。偶然に生まれたものではなく、何らかの事象によって強制定義された存在。……覚えているか?あの魔王城には魔族が一体もいなかった。」


「あ……言われてみれば。確かに、あそこには魔王しかいませんでした。それどころか、周囲にすら……。」


「あぁ。魔王は魔族ではないのかもしれないな。だが、魔王城を破壊した後の散らばった肉片や血は、間違いなく魔族と同種のものだった。つまり、同族がいるにも関わらず別として扱われ、ただ組み込まれた目的にのみ動くもの。それが、魔王だと、俺は思う。」


「……うん。」


目を閉じ、噛み締めるように処理していく。もう考えるような力も残っていないであろう頭で咀嚼し、言った。


「ありがとう、レイ。おかげで、多くを得てしまったよ。僕は、シド・シルバーレイは、友を誇りに思う。」


「私、アルミリネ・シルバーレイも、楽しき時間を、夫と家族に幸せをもたらした友を、偉大に思います。」


「そうか。」


俺は鼻を鳴らし、窓の方へ歩いていく。


「なんだ、僕の最期まで、立ち会って、くれないのかい?」


「お前には家族がいるだろう。妻が、子が、惜しみ、看取ろうとしている。であればお前も答えてやるのが筋だろう。お前、言葉遣いが昔と混じっているぞ。」


窓枠に手をかけた俺は、振り返り、幸せに眠ろうとしているものと寄り添うものを見納め、


「じゃあな、友よ。お前たちとの日々は、悪くなかった。」


窓から姿を消した。














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