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気の向くままの異世界旅  作者: 方夜虹縷
第二章

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第33話 運試し

パチパチ、とゆっくり手を鳴らす。


「驚いた。びっくりするぐらい強くなっている。まさか防がれるとは思ってなかったぞ。そのうえ、あの連携は素晴らしい。誇っていいぞ。」


俺が講評すると、勇者が力なく返してきた。


「はは……。こうなったのは誰のせいだと……。驚いたのは僕らもだよ。」


「うん?それは?」


勇者と聖女が顔を見合わせ、声を揃えて言った。


「「怒ったレイが、殺される前にもとに戻ってくれた……!」」


あほなことを言い出すので、呆れ声で返した。


「失礼な。俺はサルになった覚えはない。そもそも、俺が勝機を失うと戻らないみたいな言いがかりはやめろ。」


非難すると聖女が返してきた。


「あの、レイさん、覚えてないんですか?一度、私たちが魔法の練習をしていて、その余波で食事がこぼれてしまったんです。その時のレイさんは……ううっ。」


「あれは怖かったね……たぶん、魔王よりも怖かった。うん、勇者である僕が断言するよ。」


いったい何のことやら?珍しくやっていた屋台で買った料理をこぼされたからと言って、剣抜いて追いかけすなんてするわけないだろう。

ひとつ咳払いして、勇者と聖女に言う。


「ともかく。よく俺の魔法を耐えきった。おめでとう。前はここまでできるようになるとは思ってなかった。」


2人にとって俺がさっき使った魔法は、対比表現になるが、子犬と大人の人間のようなもの。うまく親和できればメリットだらけだが、対立すれば一方的なものだ。


「俺はお前たちの実力を認めた。つまり興味を持った。つまr」


「僕たちと一緒に来てくれるってこと!?」


うっ、視線がまぶしい。何故か勇者の瞳に星が見えるんだが……。人間はいつからそんな多芸ない君にになったんだ?


「落ち着け。子供かお前は。」


「あ、ごめん。つい。」


「シドが過剰な反応をするのはいつものことですので。それよりも、ここで付いて来ていただけないのは話が違うと思いますが?」


「いつ俺が興味が湧いたら同行するなんて言ったんだ。あながち間違ってもないがな。」


首をかしげる二人の前で、俺は一枚の硬貨を取り出す。


「お前たちは神とやらに選ばれて勇者と聖女になったんだろ?なら、俺が同行するかどうかは神に決めてもらおうか。」


」……それって、『運試し』って言うんじゃないかな?」


「Exactly.そのとーり。」


「えぇ?」


感情乱高下マシンかお前は。聖女に呆れられてるぞ。いつも通りか。

俺は硬貨を見せながら言った。


「ほらさっさと決めろ。こっちが表、こっちが裏だ。どっちにする?」


俺が聞くと、勇者は腕を組んで悩みだした。そのまま数秒硬直すると、


「じゃあ表!」


と言った。聖女も異論はないようで頷いている。


それを見た俺は、硬貨を中間あたりに投げ、後ろを向いた。こういったことでの不正は嫌いだ。するつもりは毛頭ないが、公正さを保つため直接見ないことにする。


チャリン、という音が数度聞こえて音が聞こえなくなった後、俺は振り返り、溜息をつきながら結果を口にした。


「……表だ。」


それを聞いて勇者と聖女が飛び上がった。


「よし!」「やりました!」


勢いのまま抱き着きあって喜んでいる。アレはあとになって悶えるやつだな。

いろいろ喋っているが、その中の一つが俺の思考を引き戻した。


「ハハ!これまで耐えてきた甲斐があった!昔の僕よく頑張った!腹立つ国王ざまぁみろ!」


ん?


「腹立つ国王?」


俺の呟くが聞こえたのか、そのままの状態で勇者が言った。まだ自分たちの状態には気づいていないらしい。おもしろいからほっとこ。


「うん。実は……」


俺は今日の午前中、勇者と聖女にあったことを聞いた。


「……なるほどな。」


俺のしみじみとした様子を感じたのだろう。聖女が聞いてきた。


「何か思うところがあるのですか?」


「まあ、な。いつの時代も腐った権力者はいるもんだな、と。ふむ、よし。」


決めた。


「シド、アルミリネ。ちょうどいい。今から俺が仲間に加わった特典を見せてやろう。」


「なんだろう。そこはかとなく嫌な予感がする。それ、悪い方の特典じゃないかな?」




数分後。俺は王都から急いで逃げていた国王一行をしゅうげ……もとい、訪ねた。


勇者と聖女?担いでいったけど。快適かもしれない空の旅を楽しんでもらった。何か喚いていたような気がするが、気のせいだろう。


国王一家の護衛を秒で制圧した俺は、その場で少しだけ国王とお話しした。


奴らのそのあとは知らない。言っていいって言った瞬間逃げるように去っていった。


一息ついた俺は……二人から文句を言われた。解せぬ。


なんとか抜け出した。小動物二匹の相手はしんどい。


前途多難とはこういうことを言うのだろう。そのことを口に出すと、声を揃えて怒られた。だが、若干すっきりした顔をしていたので、本気ではないはずだ。


王都に未練なんてある訳ない。惜しいものと言えば食事ぐらいで、二人はもともと旅をしていたので準備に時間は要らなかった。旅を続けることで、新たな発見もあるだろうし。


その日のうちに王都を出発した。






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