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気の向くままの異世界旅  作者: 方夜虹縷
第二章

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第32話 墨

◇レイ視点◇


突如訪れた地震で降りかかってきた瓦礫を跳ね飛ばし、周りの残骸を消して、残骸の上に立った俺は睨みあっている両者を見下ろした。


片方は最近ストーカーじみてきた勇者と聖女。字面からは想像できないぐらいボロボロで砂まみれになっている。


もう片方は……何だアレ?紫と緑の二足歩行の何か、ああ、もしかしてあれが魔族か。こっちは紫も緑もは無傷だが、緑は妙に疲れているように見える。何というか、拷問を受けた後みたいな。


その緑がこっちを向いて口を開いた。


「あ?何だお前?勇者でもない雑魚はあとで殺してやる。邪魔だ!」


……ほう。


「最近はお前のような輩がいなかったからか、俺も平和ボケしていたか。とりあえず、死ね。」


緑色は俺の発言に顔を真っ赤にし……その体が傾いた。直後、閃光が弾けた。


緑色が立っていた場所で爆発が起きた。勇者と聖女がいる場所まで直接は届かないが、衝撃は届くため飛ばされないように必死になっている。


爆発が収まったあと姿を現したのは、無傷の、黒いドーム状のものを張った紫色と庇われた緑色。


その様子を見て、俺は素直にに思ったことを口にする。


「そっちの紫色。いい勘をしているな。魔法があたる直前で緑色を引っ張り、防御したか。それに、手を抜いたとはいえ、俺の魔法を防ぐほどの防御魔法。誇っていいぞ。」


俺が手を叩きながら話すと、紫色が返してきた。


「貴様は何者だ。この我がギリギリまで背後から迫る魔法に気づけないほどの手練れ。勇者や聖女に類するものではないとしたら、何だ?」


「せっかく人が褒めてやっているのだから、感想ぐらいは欲しいところだが。で、俺?俺は……そうだな、今はクレーマーだ。」


俺の言葉に紫色が首をかしげる。


「くれーまー?何だそれは?」


うん?クレーマーを知らないのか。てっきり英語とかの外来語は、日本語ベースで通じると思っていたんだがな。一部現代語が通じないのか?

まぁそれはいいとして。


「端的に言えば、俺は文句を言いに来たんだ。」


一拍おいて、


「お前ら、3度この辺りを襲った衝撃の原因を知っているか?」


勇者と聖女が顔を合わせている。


「3度の衝撃……?」


「ええっと……初めの破壊活動と、あの魔族が地面を踏みしめた時と、さっきの大規模攻撃のときかと。」


俺に聞こえないように小声で話しているようだが、もちろん聞いている・


「おい、勇者と聖女。その口ぶりからして原因はあの魔族どもってことでいいんだよな?」


「!?何で聞こえているんだい?」


「魔法で聞いているからに決まってるだろうが。」


風属性で空気を振動させたり、空間属性で直接つなげたりと、やりようはいろいろあるのだ。

ちなみにあの二人の会話は、魔族どもにも聞こえるようにしている。


魔族のほうに視線を向けると紫色が答えた。


「確かにそれらは我らが行ったものだ。それがどうかしたか?」


俺は両手を握り締める。


「そうか……お前らか。お前らの……お前らのせいで……、」


目を見開き指をさして言った。


「俺の!大事なスープ(180エス)がこぼれた!今日販売開始の新メニューで、まだ味わえてないのに!お前らのせいだぁぁぁあ!」


ふっざけるなよ。せっかく勇者どもがいない日に偶然立ち寄った店で見つけて楽しみにしてたのに。それを台無しにしやがって。この町の飲食店を巡り終えた俺にとって、それがどれほど貴重なものか。


紫魔族が顎に手をやって、言った。


「ふむ……。人間の感情が揺れる原因はよく理解できないが……。それならば、勇者と聖女も我らと同罪ではないか?」


「え?」「はい?」


突然巻き込まれて勇者と聖女が困惑している。


「何せ、我らが攻め入る原因は奴らの祖先にあるうえ、先の攻撃はその二人を排除せんと放ったものであるからな。我らの攻撃原因になった奴らに非があると思うが。」


「ちょっと待て!何で僕らを巻き込むのさ!しかもこじつけだよねそれ!」


「あれほど手練れであれば、苦戦することは想像に難くない。ならば、攻撃を受けないように対処するのは当然であろう?そも、あながち間違ってはいるまい。わざと我らを愚弄し平静を保たせぬようにしてきたであろう。」


……よし。guilty.


「あ、ダメなやつだコレ。そういえばレイって食には極端にうるさかったっけ……。せめて弁解ぐらいはさせてほし」


何やら勇者が嘆いているが、知ったことか。


「……殺す。」


そう呟くと同時に魔法の槍を大量に生成する。六属性が入り混じったそれは少し間を置き、勢いよく襲い掛かった。


着弾する前に、魔族どもは紫色がドーム状のバリア擬きを展開した。一方、あちらは聖女が盾を生成し、勇者が剣を構えた。


……愚かだな。


魔法の槍はかなりの勢いで着弾した。魔族の防壁は衝撃を受け……呆気なく破壊され、槍はそのまま魔族どもの命を刈り取る。さらに、場雨壁が完全になくなった後も槍が襲い続けている。


俺と魔族どもじゃ魔法の密度や練度が違う。あの程度の防壁で防げると思っていたのなら、大間違いもいいところだ。

あぁいや、手練れ云々って言ってたし、割と全力で張ったのかもな。

ま、そんな程度げは俺の足元にも及ばないが。


それにしても、意外だな。


勇者と聖女がアレに耐えている。基本は聖女が出した盾で防ぎつつ、追いつかなくなったら勇者が近づいた順に切っていく。

しかも勇者は切りながら聖女に魔力を流してサポートしている。聖女の魔力運用がスムーズだな。普通、自分以外の魔力は拒絶反応が起こるはずなんだが。


……あの二人、あんな強かったか?


少なくとも、会ったばかりの頃とは比べ物にならない。まさか、俺に付いて来ていただけであそこまで?成長率お化けか。


ある程度撃ち続けたところで止める。


砂埃が晴れ、出てきたのは、二つの死体と二つの人影だった。









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